投稿者「tfuji」のアーカイブ

シリアスゲームジャパンセッション発表資料・プレス記事

シリアスゲームサミットGDC「シリアスゲームジャパン」セッションの発表資料(藤本)を掲載しました。
Games and COTS Serious Games and COTS games in Japan(PDF)
また当セッションの模様がメディアで紹介されました。
IGDA日本の新氏ら、日本におけるシリアスゲームの動向を発表(Gamewatch)http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20050309/gdc_seri.htm
【GDC 2005】日本のシリアスゲームの動向に世界の関心が集まる(ファミ通.com)
http://www.famitsu.com/game/news/2005/03/09/103%2C1110339365%2C37135%2C0%2C0.html
[GDC#05]日本のシリアスゲーム,DirectXなど2日目の見どころ (4Gamer.net)http://www.4gamer.net/news.php?url=/news/history/2005.02/20050222174241detail.html

シリアスゲームサミットGDC2005 (1)

シリアスゲームサミットGDC2005
場所:モスコーニウェストコンベンションセンター (Game Developers Conference内)
日時:2005年3月7〜8日
 昨年から始まったシリアスゲームサミットGDC、今年もGDCのチュートリアルセッションの一つとして開催された。昨年の参加者数が約300人だったのに対して、今年は450人以上の参加者数となった。昨年は一部屋のみだったが、今年は3部屋に拡充されて、セッション数も大幅増となった。開催前のプロモーション時の扱いも、今年は格段に大きな取り上げられ方をされていて、シリアスゲームのGDC内での存在感の高まりを示しているようであった。

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シリアスゲームサミットGDC:日本事例紹介

3月7日、8日にGame Developers Conference 2005にて行なわれるシリアスゲームサミットGDCで、日本事例紹介のパネルセッションを行なうことになりました。下記のような要領で行なわれますのでGDCに参加される方はぜひ参加をご検討ください。
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シリアスゲームジャパン: 日本におけるシリアスゲーム動向
スピーカー:馬場 章(東京大学大学院助教授)、新 清士(IGDA日本コーディネーター)、
藤本 徹(ペンシルバニア州立大学博士課程、シリアスゲームジャパンコーディネーター)
日時:2005年3月8日(火)11時30分〜12時30分
プレゼンテーション概要:
このセッションは、日本におけるシリアスゲーム動向と、シリアスゲームに有効と思われるCOTSゲーム(市販ゲーム)の可能性への理解を深めることをねらいとしている。東京大学大学院の馬場章助教授、IGDA日本代表の新清士氏、シリアスゲームジャパンコーディネーターの藤本徹氏が、日本におけるシリアスゲームと関連した研究や実践の展開動向を紹介する。まだ欧米ほどにはシリアスゲームの活動が確立されていない中で、日本では、ゲーム型シミュレーションのモデルとしての有用性が高いと思われるCOTSゲームが充実している。このセッションでは、日本国内で展開されているプロジェクトと、シリアスゲームとしてのポテンシャルを持つと思われる日本産COTSゲームを紹介する。東大と韓国の大学で共同で行なわれているMMORPGを利用した教育の研究プロジェクト、神奈川リハビリテーションセンターなどで研究が進められているリハビリテーションへのゲーム利用事例、東京大学ゲーム研究プロジェクトの取り組みなどを紹介する。
<講演者プロフィール>
[馬場 章 氏]
1958年生まれ。専攻は日本近世経済史、歴史情報論。文化財のデジタルアーカイブ制作のための理論と方法を研究。また、近年は学習支援ゲームの開発を通じ、新たなエデュテインメント概念としてゲームのプレジャラビリティを提唱している。コンテンツ創造科学産学連携教育プログラムで「デジタルアーカイブ論」「ゲームプロデューサー論」、教養学部で「ゲームデザイン&エンジニアリング論」を担当。
[新 清士 氏]
1970年生まれ。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。立命館大学大学院政策科学研究科講師。国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)代表。東京大学ゲーム研究プロジェクト共同代表。CEDECアドバイザリーボード委員。著書に『ゲーム開発最前線「侍」はこうして作られた〜アクワイア開発2課の660日戦争』。連載「ゲーム開発のグローバライゼーション」(メディアクリエイト総研「DigitalEntertainment Business」)など。
[藤本 徹 氏]
1973年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。ペンシルバニア州立大学大学院インストラクショナルシステムズプログラム博士課程に在籍。ゲーム技術を活用した教育工学の開発方法論を研究。2004年よりシリアスゲームジャパンのコーディネーターとして、日本でのシリアスゲームコミュニティ形成を推進。

ゲームが教育の場で受けない10の理由

シリアスゲーム研究者のLisa Galarneauが「ゲームが教育の場で受けない10の理由」という記事を書いていますのでご紹介します。
引用元
1.「エデュテイメント」時代、多くのコストをかけたわりにささいな成果しか得られなかった。多くの人はインチキな売り文句にだまされたと感じている。
2. 多くの「教育用」ゲームは「チョコレートで包んだブロッコリー」であって、少しはやる気を起こさせても、なんら教育効果として目立ったものがあるわけではない。
3. 教師やスタッフの多くはいまだIT機器に慣れていない。
4. 教師や親の多くは、子ども達が楽しみながら学ぶということはありえないと信じている。彼(女)らはゲームがつまらないものや有害なものであるという煽りたてるマスメディアの影響を受ける傾向にある。
5. 多くのゲームは、慣れて何かができるようになるまでに20分以上かかる。ほとんどの授業はそんな時間を確保できないし、試験のための勉強に時間を割かなければならないので、ゲームを使って学習するような贅沢な時間の使い方はできない。ゲームは宿題にできないし、学校はデジタルデバイドのために家庭で十分なハードを利用できない生徒がいると考えている。
6. 面白いゲーム/シミュレーションは、概して教育者や学者にとっては教育用途には正確さが不十分であり、逆に正確なものは退屈でありがちだ。
7. ゲーム/シミュレーションは、必ずしも直接的にスキルを学ばせるのに適しているわけではなく、むしろスキルや能力の改善、ものの見方の変化を促すといった、時間が経ってから成果が明らかになるような細かな問題に適している。残念なことにほとんどのゲームはその有効性が教育者から十分に理解されていない。
8. ビジネス界と違って、教育界では学習が重要で不可欠なこととして考えられていない。企業や軍隊でゲームやシミュレーションが活用されているのは、それらの組織で本当の変化や学習が求められているからであり、進化や学習なしには生き残れないからである。
9. ゲームが教育に使えると考えるには、信念と理念とリスクテイクが必要となる。そんなことができるリーダーシップがとれる体制のある組織はそんなに多くない。
10. 成功した教育用のゲームはあるものの、それらは教育の主流からは認識されていない。

シリアスゲーム基礎文献・リソース集

シリアスゲームへの理解を深める上で読んでおきたい基礎文献をご紹介します。このリストはちょっとずつアップデートしていきます。
今のところほとんど英語で恐縮です。これから翻訳化も含め、少しずつ日本語文献を増やしていければよいなと思ってます。
1. 書籍
“Digital Game-Based Learning” by Marc Prensky

ゲームを通した学習の必要性、原理、実践方法などについて網羅的にまとめられている。学習ツールとしてのゲームを開発、活用していく上でまず考慮に入れるべき点をおさらいできる。シリアスゲーム関連の論文ではまず引用される。

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東京大学ゲーム研究プロジェクト定例研究会

代表者の藤本が、東京大学ゲーム研究プロジェクト定例研究会に講師として招待され、「北米におけるシリアスゲームの展開」と題したプレゼンテーションを行ないました。50名ほどの方々にご参加いただきました。
当日の配布資料はこちらからダウンロードできます。(PDFファイル、450KB)
当日の模様につきましては、ファミ通.comでも紹介されています。
社会の諸問題をゲームで解決する!? 東大でシリアスゲームの講義が開催!!
http://www.famitsu.com/game/news/2004/12/18/103,1103297612,34686,0,0.html

シリアスゲームサミットDCレポート(5)

パネル:従来型e-learning/学習管理システム(LMS)のためのゲームモデル
パネリスト:
Doug Nelson (CEO, Kinection, Inc.)
Andrew Kimball (CEO QBInternational)
Shon Bayer (Developer Enspire Learning)
Paul Medcalf (Director of Multimedia InSite Interactive)
「– 今日のeラーニングシステムの大半は、これまで何百年と続いてきた講義と教科書による教育スタイルに強く影響を受けています。自由なスタイルが必要なゲームをSCORM標準に合わせた形でラーニングマネジメントシステム向けのゲームをいかに開発するかは、ゲームデザイナーにもeラーニングマネージャーにとっても完全に謎となっています。その結果、たいていのeラーニングシステムは、HTMLとShockwave/Flashと、簡単なJavaアプレットといった基本的なテクノロジーで開発されています。このパネルでは、eラーニング向けのゲームデザインの方法と、各種学習タイプごとの事例を紹介します。また、ラーニングマネジメントシステムに利用されるテクノロジーと最新のゲームテクノロジーの差がどのように問題となっていくかについても議論します。–(セッション概要より)」

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シリアスゲームサミットDCレポート(4)

レクチャー:流動的学習環境の未来とその評価
スピーカー: Aaron Thibault (IC2デジタルメディアコラボラトリー、研究開発コーディネーター)
「–学習装置としてゲームを利用するのは新しいことではないが、その利用法、そしてさらに重要な学習結果測定の方法は、まだ未成熟であると言ってよいでしょう。ゲームが学習の場における刺激的なテクノロジーであるのと同じように、刺激的な学習効果をもたらしてくれることを人々は期待しているため、効果測定は非常に重要なキーワードとなっています。しかし、まだ我々はゲーム学習の効果測定については無声映画の時代にいるような状態です。このセッションでは、これまでのゲーム学習の効果測定研究を整理し、特に多様な選択肢や経験を織り込んだ流動的学習環境としてのゲームと、従来型の教育方法の比較しながら解説します。参加者はゲーム学習のための測定ツールの概要と、この研究分野が展開する将来像についての知見が得られるでしょう。–(セッション概要より)」
テキサス大オースティン校のIC2デジタルメディアコラボラトリーの研究員として学習用ゲームの研究開発に携わるThibault氏は、レクチャーで次のような点について言及した。

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シリアスゲームサミットDCレポート(3)

パネル:ゲームは将来の人の振る舞いをどう形成することができるか?
パネリスト:
ジム・ジー(ウィスコンシン大学教授)
デボラ・リーバーマン(カリフォルニア大サンタバーバラ校教授)
エレイン・レイボーン(サンディアナショナルラボ、アドバンストコンセプトグループ)
デビッド・ラジェスキー(ウッドロー・ウィルソン・インターナショナル・センター・フォー・スカラーズ、ディレクター)
「– 複雑な専門知識の深く理解するには、個々の行動を起こす論理を形成するような対人関係のシミュレーションと、その中で他者と交流できる環境を提供することが必要であると考えられています。ゲームがそれにどこまで対応しているかという点については議論がありますが、ゲームが幅広い学習科目において人々の態度を変える潜在能力を持っているということは明らかです。ウィスコンシン大学教授で「What Videogames Have To Teach Us About Learning And Literacy(ビデオゲームが学習とリテラシーについて教えてくれること)」の著者であるジム・ジー教授がリード役を務めて、ゲームと行動変容の関係、そしてその応用について議論します。(セッション概要より)–」
ジム・ジー(ウィスコンシン大学教授)
「知識伝達のレベルは3段階。1. 知識伝達は簡単である、2. 知識伝達は無理である。何かを知ってもらうには教え込む必要がある。3. 知識伝達は可能、だが難しい。実現するには何らかの働きかけが必要。3番目が教育理論の現状認識である。」ジー教授はこのように切り出し、彼のこれまでの研究からの知見を以下のように整理した。

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