ゲームで遊ぶ子どもたちが心配な親のための本

デジタルゲームベースド・ラーニング」の著者マーク・プレンスキ氏の新刊 “Don’t Bother Me Mom — I’m Learning” (「ママ、勉強してるんだからジャマしないでよ」)が発売されました。
この本は、子どもがゲームで遊ぶのを心配する大人のための、ゲームとポジティブに、かしこく付き合うための解説書です。ゲームは有害ではなく、むしろ子どもたちや若者たちの成長を助け、能力を高めているという研究事例を引用しながら、ゲームを子どもの学習環境の中にうまく取り込むことで、子どもたちがデジタル技術の進化した社会でよりよく生きていくためのリテラシーを身につけながら成長していくことができるという考え方を提示しています。
ゲームで遊ぶ子どものことを心配する大人たちの多くは自分でゲームをプレイしないため、ゲームプレイを通して子どもたちが身につけているリテラシーについてを理解できず、そのためにゲームが有害であるとする誤った二次情報によって翻弄されています。
この本ではそうした情報がいかに誤っているかを指摘しながら、ゲームの持つポジティブな効能を実際の事例に基づいて解説し、ゲームについて子どもたちとよりよい関係を築いていくための考え方や方法を紹介しています。
ゲームの世界がどんな感じで、子どもたちがその中でどういう経験をしているのか、子ども達の身につけているスキルがどんなもので、どんな風に社会で役に立っているのか、子どもたちがゲームを通した経験を学習に活かしていくには子どもたちとどういう会話をすればよいのか、といったことに関心のある「非ゲーム世代」の方にお勧めの一冊です。
過去の関連エントリ:親と教師のためのゲームガイド

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シリアスゲームサミットDCダイジェスト

 シリアスゲームサミットGDCの開催まであと2週間を切りました。参加される方向けの予習をかねて、昨年10月に行なわれたシリアスゲームサミットDCから、3つのセッションの模様をダイジェストでご紹介します。
1.ヘルスケアと森林管理−ハーフライフ2:シリアスゲームモディング
ティム・ホルト (オレゴン州立大学リサーチアシスタント)
2.フードフォースによって飢餓と闘う国連
ジャスティン・ロシェ (国連世界食料計画、プログラムマネージャー)
3.ハズマット:ホットゾーン−ファーストパーソン・レスポンダー・ゲーミング
ジェッシー・シェル(カーネギーメロン大学エンターテイメントテクノロジーセンター)他

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Games for Healthレポート(3)

 南カリフォルニア大学研究員の別府文隆さんによる、Games for Healthカンファレンスのレポート第3弾が株式会社シナジーのウェブサイトに掲載されました。
「市販のゲームを改良し、PTSD治療に活用」
「教育プログラムに組み込まれるシミュレーションゲーム」
「エンターテインメント業界のノウハウや資源をフル活用」
といった、セッションでの模様が紹介されています。
米国シリアスゲーム関連学会レポートNo.3
シミュレーション開発に注がれるコストと情熱

Food Force紹介記事

国連世界食糧計画(WFP)が開発したゲーム「Food Force(フードフォース)」がHotwiredの記事で出ていました。その中で、同ゲームプロジェクト責任者ジャスティン・ローチェ氏のコメントが興味深かったので引用して紹介します。
  「われわれのゲームは、市場を支配している大量の暴力的なゲームの対極にある。
  弾の一発も発射されないこのゲームで、われわれはシューティング・ゲームに
  費やされがちな子どもたちの時間を奪取しようとしているのだ」
  「大きくなったらWFPで働きたいと書かれた電子メールが子どもたちからたくさん
  届く。われわれのささやかなゲームがこのような影響を与えていると思うと喜ばしい」
記事全文はこちら。
食糧支援活動を学べるゲーム『Food Force』が人気(Hotwired)

親と教師のためのゲームガイド

 親と教師のためのゲームガイドWebサイト「ゲームズ・ペアレンツ・ティーチャーズドットコム(GamesParentsTeachers.com)」が立ち上げられ、整備が進んでいます。
 このWebサイトは、「デジタルゲームベースド・ラーニング」の著者マーク・プレンスキ氏の新刊 “Don’t Bother Me Mom — I’m Learning” (「ママ、勉強してるんだからジャマしないでよ」)が近日発売されるのに合わせ、ターゲットの親、教師に向けて、ゲームのポジティブな側面への理解を促すためのソーシャルマーケティングキャンペーン的な活動になっています。
 サイトの構成は、「ゲーム紹介」「トピック(対応する科目・分野−準備中)」「リソース(ゲームのポジティブな側面について書かれた文献や情報)」となっていて、プレンスキ氏の呼びかけで、協力者たちによって情報が整備されているところです。

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シリアスゲームサミットGDCセッション紹介

 来月に開催が迫ってきたシリアスゲームサミットGDCでは、二日間で33のセッションが予定されています。セッションラインナップが出揃ったようですので、どんなセッションが行なわれるか、その一部を簡単に訳してご紹介します。
(1) テーマ別シリアスゲームディスカッション
(2) アドバゲーミング、ゲームによるメッセージ伝達、マーケティング
(3) シリアスゲームにおける一般オーディエンスアプローチ
(4) シリアスゲームチュートリアル: シリアスゲームプロジェクトを成功に導くアプローチ
(5) ヒューマンからバーチャルヒューマンへ

ダンスダンスレボリューション、公立学校で採用

 コナミの音楽ゲーム「ダンスダンスレボリューション(DDR)」が肥満対策として、米国ウェストヴァージニア州の公立学校の体育教育に採用されたというニュースが話題になっています。
 このプログラムは、ウェストバージニア州とコナミの間の3年プロジェクトで、まず103校の中学校(生徒数約6万4千人)にXBoxのコンソールとDDRのソフトが設置されて保健体育カリキュラムの中で利用開始され、3年以内に同州の全765校(生徒数約28万人)の公立学校で展開される計画となっています。プロジェクトには、ウェストバージニア州健康保険局、公的健康保険機関ブルークロス・ブルーシールド、州教育省、ウェストバージニア大学、コナミが参加し、州の主導でDDR利用カリキュラム開発と、効果測定研究が行なわれます。
 このDDR導入プログラム全体の費用は、約50万ドル(約6000万円)ほどで、州健康保険局とブルークロス・ブルーシールドが負担し、コナミも7万5千ドルを提供、不足分は州が民間の財源から確保する計画です。
 同州は全米の中でも肥満率がワースト3に入り、小学校5年生を対象とした調査で約半数が太り気味か肥満と判定されていることや、同州の子どもの3分の一は糖尿病傾向にあるなどが問題となっています。
 前年に、ウェストバージニア州健康保険局とウェストバージニア大の間で実施されたGames for Healthプロジェクトで、DDRの効果を研究するパイロットテストが実施されており、その成果を受けての本格展開となったようです。
ソース(いずれも英語)
Gamasutraの記事
CNNの記事
USA Todayの記事

シリアスゲーム本2冊リリース

 米国でシリアスゲームの一般解説本「Serious Games: Games that educate, train, and inform」と、開発者向けの入門書「Developing Serious Games」が発売されました。いずれもこれまでに議論されてきた内容を網羅的にカバーしてあり、資料的な情報も収録してあるので、これからシリアスゲームについてフォローしたい方にお勧めの内容に仕上がっています。GDCのシリアスゲームサミットをはじめ、シリアスゲーム関連のイベントに参加される方には、予習テキストとしてとても重宝すると思います。