投稿者「tfuji」のアーカイブ

シリアスゲームサミットGDCレポート

 RBB Todayに寄稿した今回のシリアスゲームサミットレポートが掲載されました。
GDC2006 シリアスゲームサミットレポート(RBB Today)
http://www.rbbtoday.com/column/seriousgames/20060404/
 このコラムでは、今回のセッションの中からいくつかをピックアップしてレポートして、全体的な傾向を総括して、日本のシリアスゲームの状況にも少し触れています。

Games for Healthプロジェクト中間報告

 PopCapGamesがスポンサーとなって、頭脳の健康維持に有効なゲーム開発のための調査研究を行なっているGames for Healthプロジェクト中間報告がアナウンスされました。(Games for Healthのリリース)。
http://www.gamesforhealth.org/archives/000125.html
 調査の結果からは、「クロスワードパズルやチェスを日常的にプレイするなど、脳を適度に運動させる生活をしている人は、認知症やアルツハイマーなどにかかりにくい傾向にある」「認知的な運動だけでなく、社会的活動や身体的な運動も同じく重要」などのコンセンサスが見られる一方で、その運動が脳の機能に働きかけるメカニズムや、改善の過程や程度に関する詳細は明らかになっていない状況で、さらに厳密な実証研究が必要だということがわかってきました。
 
 従来はワークシートやカード式教材として出されていた製品が、デジタルゲームメディアに置き換えられて製品化される例や、市販のパズルゲームを頭の体操に利用して、機能改善が見られた例などが報告されており、ニンテンドーDSの「脳を鍛える大人のDSトレーニング」などの例も調査の中で取り上げられています。現在、認知機能の維持・向上とゲームに関連する基礎研究の文献調査を行なっている段階で、今後は専門家へのインタビュー等も計画されています。同プロジェクトで蓄積されたリソースは、この分野でのゲーム開発に取り組む開発者のために一般公開されます。

CMPのシリアスゲームリソースサイト

GamasutraやGDCの運営を行なっているCMPによるシリアスゲームリソースサイト「Seriousgamessource.com」が開設されました。
Seriousgamessource.com
http://www.seriousgamessource.com/
Gamasutraに掲載されたシリアスゲーム関連記事の他、求人情報、プロジェクト情報、講義録のオンライン販売なども今後掲載されていくようです。

Games for Healthレポート(4)

 南カリフォルニア大学研究員の別府文隆さんによる、Games for Healthカンファレンスレポートの最終回が株式会社シナジーのウェブサイトに掲載されました。
シリアスゲームジャパン藤本徹氏インタビューと今後の展望http://syg.co.jp/seriousgame/gfh4_1.html
今回はこれまでのカンファレンスレポートを受けて、まとめのような形で藤本へのインタビューを中心とした構成になっています。

スクウェア・エニックスと学研、シリアスゲーム事業参入

 スクウェア・エニックスと学研が、シリアスゲーム事業で提携して、新会社「SGラボ」を設立を設立したというニュースが各メディアでニュースとなっています。シリアスゲームに関するニュースが、ゲーム専門メディア以外でニュースとして取り上げられたのは、これがおそらく初めてだと思います。ゲーム業界大手企業が、シリアスゲーム開発を明確に意識した形で事業参入するのも同社が最初です。オンライン記事の主なところを集めてみました。
(ゲーム情報専門サイト)
スクウェア・エニックスと学研、シリアスゲーム事業で提携、専門の新会社「SGラボ」を設立(Impress Game Watch)
http://watch.impress.co.jp/game/docs/20060322/sglab.htm
「学び」をゲームに──「シリアスゲーム」市場開拓へスクエニと学研が提携(+D Games)
http://plusd.itmedia.co.jp/games/articles/0603/22/news065.html
スクウェア・エニックスと学研,シリアスゲーム事業で業務提携(4Gamer)http://www.4gamer.net/news.php?url=/news/history/2006.03/20060322214945detail.html
(一般ニュースメディア)
スク・エニと学研、学習・職業訓練ソフト開発で提携(Nikkei Net)
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060322AT1D200DA21032006.html
スクエニと学研:学習・啓蒙ソフト会社 共同設立へ(毎日インタラクティブ)
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/it/solution/news/20060322org00m300102000c.html
(海外のゲーム情報専門サイト)
Square Enix gets serious(Gamespot)
http://www.gamespot.com/news/6146444.html
(プレスリリース)
スクウェア・エニックス(PDF形式)
http://www.square-enix.com/jp/company/j/news/2006/download/release_060322.pdf
学研
http://www.gakken.co.jp/news/20060322.html
ゲーム業界大手のスク・エニ社の参入は、海外のシリアスゲームコミュニティでも歓迎されており、さっそくSerious Games Webサイトでも記事となっています。
Congratulations to Square Enix on SG Lab(Serious Games)
http://www.seriousgames.org/archives/000122.html
今後、このニュースは国内外にさらに広まり、大手ゲーム会社各社のシリアスゲームに関連した経営判断に影響を与えることになると思われ、さらなるプレイヤーのシリアスゲーム事業への参入が期待されます。

シリアスゲームサミットDCストリーミング

rhoshinoさんから、次のような情報を提供していただきました。ありがとうございます。
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CMPのストリーミングサービスGDCTVにシリアスゲームサミットDCの講演も追加されています。フードフォース、Hazmat、BioWareのコミュニティ戦略など7セッションが登録するだけで無料で見られます。
GDCTV
http://www.pqhp.com/cmp/gdctv/

ゲームで遊ぶ子どもたちが心配な親のための本

デジタルゲームベースド・ラーニング」の著者マーク・プレンスキ氏の新刊 “Don’t Bother Me Mom — I’m Learning” (「ママ、勉強してるんだからジャマしないでよ」)が発売されました。
この本は、子どもがゲームで遊ぶのを心配する大人のための、ゲームとポジティブに、かしこく付き合うための解説書です。ゲームは有害ではなく、むしろ子どもたちや若者たちの成長を助け、能力を高めているという研究事例を引用しながら、ゲームを子どもの学習環境の中にうまく取り込むことで、子どもたちがデジタル技術の進化した社会でよりよく生きていくためのリテラシーを身につけながら成長していくことができるという考え方を提示しています。
ゲームで遊ぶ子どものことを心配する大人たちの多くは自分でゲームをプレイしないため、ゲームプレイを通して子どもたちが身につけているリテラシーについてを理解できず、そのためにゲームが有害であるとする誤った二次情報によって翻弄されています。
この本ではそうした情報がいかに誤っているかを指摘しながら、ゲームの持つポジティブな効能を実際の事例に基づいて解説し、ゲームについて子どもたちとよりよい関係を築いていくための考え方や方法を紹介しています。
ゲームの世界がどんな感じで、子どもたちがその中でどういう経験をしているのか、子ども達の身につけているスキルがどんなもので、どんな風に社会で役に立っているのか、子どもたちがゲームを通した経験を学習に活かしていくには子どもたちとどういう会話をすればよいのか、といったことに関心のある「非ゲーム世代」の方にお勧めの一冊です。
過去の関連エントリ:親と教師のためのゲームガイド

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シリアスゲームサミットDCダイジェスト

 シリアスゲームサミットGDCの開催まであと2週間を切りました。参加される方向けの予習をかねて、昨年10月に行なわれたシリアスゲームサミットDCから、3つのセッションの模様をダイジェストでご紹介します。
1.ヘルスケアと森林管理−ハーフライフ2:シリアスゲームモディング
ティム・ホルト (オレゴン州立大学リサーチアシスタント)
2.フードフォースによって飢餓と闘う国連
ジャスティン・ロシェ (国連世界食料計画、プログラムマネージャー)
3.ハズマット:ホットゾーン−ファーストパーソン・レスポンダー・ゲーミング
ジェッシー・シェル(カーネギーメロン大学エンターテイメントテクノロジーセンター)他

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Games for Healthレポート(3)

 南カリフォルニア大学研究員の別府文隆さんによる、Games for Healthカンファレンスのレポート第3弾が株式会社シナジーのウェブサイトに掲載されました。
「市販のゲームを改良し、PTSD治療に活用」
「教育プログラムに組み込まれるシミュレーションゲーム」
「エンターテインメント業界のノウハウや資源をフル活用」
といった、セッションでの模様が紹介されています。
米国シリアスゲーム関連学会レポートNo.3
シミュレーション開発に注がれるコストと情熱

Food Force紹介記事

国連世界食糧計画(WFP)が開発したゲーム「Food Force(フードフォース)」がHotwiredの記事で出ていました。その中で、同ゲームプロジェクト責任者ジャスティン・ローチェ氏のコメントが興味深かったので引用して紹介します。
  「われわれのゲームは、市場を支配している大量の暴力的なゲームの対極にある。
  弾の一発も発射されないこのゲームで、われわれはシューティング・ゲームに
  費やされがちな子どもたちの時間を奪取しようとしているのだ」
  「大きくなったらWFPで働きたいと書かれた電子メールが子どもたちからたくさん
  届く。われわれのささやかなゲームがこのような影響を与えていると思うと喜ばしい」
記事全文はこちら。
食糧支援活動を学べるゲーム『Food Force』が人気(Hotwired)