最近出てきたシリアスゲームの海外事例をいくつかまとめてご紹介します。
Planet Green Game
「Planet Green Game」は、スターバックスと環境保護団体のGlobal Green USAが協力して開発した環境教育ゲームです。ゲームでは、徒歩や自転車、自動車などの移動手段を選択して、マップ中を動き回って各地に設定されたミニゲームをプレイしたり、情報収集を行ったりしながら、環境保護に関する知識を学べる用にデザインされています。WaterCoolerGamesで詳しく紹介されており(英語)、「企業広告と環境教育が組み合わさったゲーム」と評されています。また、日本語でもGarbageNewsで紹介されています。
Stop Disasters!
「Stop Disasters!」は、国連国際防災戦略(UN/ISDR)が開発した、子ども向けの防災教育ゲームです。5つのシナリオで、それぞれ津波、山火事、洪水、ハリケーン、地震への災害対策を立てるミッションが与えられ、防災設備の設置や避難場所の確保などを時間内で行い、災害が起きた際にどれだけ防災の達成度向上を目指す形でゲームがデザインされています。同じく国連が開発したゲーム「Food Force」よりもゲームプレイに関わる情報量が多く、目標達成のために必要な知識が高度になっていると言えます。
ゲームはオンラインで無料でプレイできる上、学校の授業で利用するための情報リソース集も提供されています。ゲームの開発を担当したのは、英国のゲーム開発会社Playthreeで、同社はFood Forceの開発会社でもあります。同じく災害をテーマにした「Disaster watch」というゲームも開発しています。ゲームの詳細については、4Gamersの奥谷海人さんの連載コラムでも詳しく紹介されていますのであわせてご参照ください。
ところで、奥谷さんのコラムではよくシリアスゲームが取り上げられていておすすめです。たとえば、「今、教育ゲームが面白い」では、環境保全シミュレーションゲーム「Climate Challenge」、食育教育ゲーム「Snack Dash」、アフリカの農民生活シミュレーションゲーム「3rd World Farmer」、バスケットボール選手向けのゲーム型トレーニングプログラム「Basketball IntelliGym」、国際宇宙ステーション生活体験シミュレーションゲーム「SpaceStationSim」が紹介されています。
シリアスゲーム関連イベント
今年も各地でシリアスゲーム関連のイベントが開催されます。昨年辺りからヨーロッパでの開催が増えてきています。国内では、DiGRAカンファレンスが9月に東京で開催されます。日程がアナウンスされている主なイベントをご紹介します。
Annenberg Workshop on Games for Learning, Development & Change (5/21-22, 南カリフォルニア大学)
Games for Change Conference 2007 (6/11-12, ニューヨーク)
Apply Serious Games 2007 (6/28, ロンドン)
GLS conference 2007 (7/12-13, ウィスコンシン州マディソン)
Learning with Games 2007 (9/24-26, フランス・ソフィアアナポリス)
DiGRA 2007 (9/24-28, 東京大学)
追記(4/16): GLS conference を追加しました。
中学校でPSPを利用した教育−英国
英国バーミンガムの中学校で、ソニーのプレイステーションポータブル(PSP)を教育メディアとして利用する実験が行われていると報道されています。
Pupils get lessons in PlayStation (BBC News)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/education/6505861.stm
この中学校では、フランス語、歴史、地理の授業でPSP上で画像やビデオ、ポッドキャストなどの教材を利用する実験授業が進められており、今年度末まで続けられるそうです。生徒に配布された端末は、市販ゲームが利用できないように設定されていて、教育用のみに利用可能になっているとのことです。
ラップトップパソコンや携帯電話端末を教育の場で生徒の個人用メディアとして利用する取り組みに加えて、この事例のようにPSP、あるいはニンテンドーDSなどの携帯ゲーム端末の利用についても教育的な関心が高まってきていることが伺えます。
Games for Health 2006 report
大変遅ればせながら・・・
Games for Health annual meetingのレポートが掲載され始めました。
トップページ
http://syg.co.jp/index.html
1回目原稿
http://syg.co.jp/gfh2006/index1_01.shtml
6回シリーズで、現在研究費について書いた2回目まで読めます。
順次6回目まで掲載されていくと思いますので逐次お知らせします。
シリアスゲームの教師用ガイド
学校の授業でゲームを利用する場合、重要なのはそのゲームを使って教える教師への支援です。その支援の手段の一つとして、教師用ガイドの提供がよく行われています。日本では国連世界食糧計画(WFP)が開発し、無料ダウンロード配布されている人道援助ゲーム「フードフォース」の教師用ガイドが提供されています。また、「シムシティDS」を利用した授業を行うためのコラボレーションキットも制作されたそうです。
人道援助ゲーム「フードフォース」教師用ガイド、配布中
http://www.wfp.or.jp/activities/story_detail.php?seq=34
[よのなか]科と『シムシティ DS』コラボレーションキット 20校に提供
http://www.simcity.jp/ds/pc/06_special_topics03.html
なお、英語版の学校教育・子ども向けゲームにおいても、同様の取り組みが以前から行われています。
動物園経営シミュレーションゲーム「Zoo Tycoon2」の教師用ガイド(英語・PDF)
http://www.ymiteacher.com/pdf/ZooTycoon.pdf
学校教育用歴史シミュレーションゲーム「メイキング・ヒストリー」教師支援サイト(英語)
http://www.making-history.com/edu/content_packs/calm/curriculum.php
ディズニーの子ども向け起業教育ゲーム「ホットショットビジネス」(英語、右上のTeacher’s Guideをクリック)
http://spapps.go.com/hsb4/landing/
「シリアスゲーム」立ち読みコーナー:教育編
先日出版しました「シリアスゲーム−教育・社会に役立つデジタルゲーム」(藤本徹 著、東京電機大学出版局)の中身をご紹介する「立ち読みコーナー」です。今回は教育分野に関心のある方向けの内容を本書から一部抜粋してご紹介します。
ゲームと学習の関係を阻害する3つの誤解 (本書P7-9)
シリアスゲームサミット関連記事
GDC内で開催されたシリアスゲームサミットも盛況のうちに終了しました。詳細レポートはあらためてということで、今回は関連記事をご紹介します。
スクウェア・エニックスの乙部氏、GDCでシリアスゲームの重要性を強調(CNET)
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20344735,00.htm
手術はゲームのうまい医者にまかせたい!? 進んできた「シリアスゲーム」研究(Nikkei IT Plus)
http://it.nikkei.co.jp/digital/news/index.aspx?n=MMITew000009032007
サンフランシスコにてGame Developers Conference 2007が開催(Impress Game Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20070306/gdc2007.htm
GDC: Square Enix Shows Its Serious Side(Serious Games Sourse)(英語)
http://seriousgamessource.com/item.php?story=12989
GDC: SJ Klein Asks For Serious OLPC Content(Serious Games Sourse)(英語)
http://seriousgamessource.com/item.php?story=13017
GDC 07: Games need to get serious(GameSpot)(英語)
http://www.gamespot.com/events/gdc07/story.html?sid=6166803
「シリアスゲーム」参考文献リスト
先日出版しました、「シリアスゲーム−教育・社会に役立つデジタルゲーム」(藤本徹 著、東京電機大学出版局)の巻末でご案内しましたように、本書で参照した参考文献リストを公開しますのでご利用ください。リンク切れ等、不具合にお気づきの際はご一報くださればたいへん助かります。
シリアスゲームサミットGDC見所解説
ゲームデベロッパーズカンファレンス(GDC)期間中の3月5-6日にサンフランシスコにて開催される、シリアスゲームサミットGDCまで、あと一週間ほどに迫ってきました。今回開催される40数セッションの中から、いくつか見所をご紹介します。
「シリアスゲーム」オンライン書店で予約開始
「シリアスゲーム−教育・社会に役立つデジタルゲーム」(藤本徹 著、東京電機大学出版局)が、主要オンライン書店で予約できるようになりました。2月20日発売です。早めの入手をご希望の方にはぜひご予約をお勧めいたします。
シリアスゲーム(アマゾン)
シリアスゲーム(楽天ブックス)
セブンアンドワイ
紀伊国屋書店Bookweb
東京電機大学出版局(本書の目次と前書きが掲載されています)