第2回シリアスゲームフォーラム開催報告

 先日4月22日、第2回目のシリアスゲームフォーラムを開催しました。

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 今回は「仮想世界における新しい学習プラットフォーム」をテーマに、ゲストスピーカーのPaul Cohen氏より没入型学習の概要、学習用途で利用される仮想世界プラットフォームの事例紹介と、各プラットフォームの評価に関する話題提供が行われ、参加者とともにこのテーマでディスカッションを行いました。

 セカンドライフ以外にも多くの仮想世界プラットフォームが提供されており、それぞれのプラットフォームが持つ長所と短所を考慮しながら利用目的に合致した形での仮想世界の導入を進めていくことが重要であるとCohen氏は指摘し、企業内での研修やコラボレーションへの利用に関するさまざまな課題についても言及されました。次々に開発されるプラットフォームの状況から、セカンドライフブーム以降もこのテーマでの活動が着実に進展してる様子がうかがえました。今後はこれらのプラットフォーム間、または他のシステムとの協調や統合が進む過程で仮想世界における学習活動をどのように導入しやすい形で提供していくか、そして技術の進展に合わせた用途開発への対応をいかに進めていくかが鍵となっている側面があるようです。

 また、後半のグループディスカッションでは、さまざまな業界からの参加者の方々によって、このテーマへの関心や導入に当たっての懸念などが話し合われました。まだ仮想世界を利用したことがない参加者から、実際に仮想世界プラットフォームを開発する企業で活動する参加者や、セカンドライフ内で研修サービスを提供する経験を持った参加者もいて、多様な論点が共有されました。

 次回のフォーラムも6月24日に予定されています。詳細はまた改めてご案内いたします。

「デジタルゲーム学習」の内容紹介

 「Digital Game-Based Learning」の翻訳書、「デジタルゲーム学習―シリアスゲーム導入・実践ガイド」(マーク・プレンスキー著、藤本徹訳、東京電機大学出版局)が発売されました。

 本書は、欧米における「シリアスゲーム」の潮流を生むきっかけの一つとなった著作で、シリアスゲームの導入・実践のためのガイドブックとしてご利用いただけます。学術出版のため価格がやや高額ですが、シリアスゲームに関心のあるeラーニング開発者、ゲーム開発者、研究者の方々には間違いなく役に立つ内容です。本書の出版意図やテーマの背景を訳者まえがきに記しましたので、本書目次とあわせてご紹介します。

 (以下、出版元ウェブサイトより転載)

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シリアスゲームフォーラムのご案内(4/22)

 来週4月22日に「仮想世界における新しい学習プラットフォーム」をテーマに、第2回のシリアスゲームフォーラムを開催します。

 セカンドライフをはじめ、仮想世界プラットフォームがここ数年でずいぶん出てきており、学習用途で利用される例も数多くあります。今回はゲストスピーカーのPaul Cohen氏にそれらの仮想世界の最近の事例などの話題を提供していただいて、このテーマの議論を深めたいと思います。

 もう数席空いているようですので、このテーマにご関心をお持ちの方はどうぞご参加ください。

日時: 2009年4月22日(水)18:00-20:30
場所: スリーロック4Fセミナールーム(小田急線・千代田線代々木上原駅前)
会費: 2000円(学生:1000円) ※当日会場にてお支払いください
定員: 15名(先着順定員に達し次第締め切ります)
主催: スリーロック株式会社、シリアスゲームジャパン

ゲストスピーカー: Paul Cohen氏(SonicViz代表)
「Virtual World-仮想世界における新しい学習プラットフォーム(仮題)」
※講演は英語で、逐次通訳を入れて行います。
詳細は下記PDFをご覧下さい。
http://www.3rockconsulting.com/annai/annai/2009/2seriousgameJP.pdf

参加申し込みはこちらです。
https://fs222.formasp.jp/c637/form2/

 

PSP用ゲーム『絶体絶命都市3 -壊れゆく街と彼女の歌-』4月23日発売

地震で崩壊した街の中で、知恵と勇気と思いやりを駆使してさまざまな困難を乗り越えて生き抜き、脱出を目指すサバイバル・アクションアドベンチャーゲーム『絶体絶命都市3 -壊れゆく街と彼女の歌-』がアイレムソフトウェアエンジニアリング株式会社から2009年4月23日に発売される。

公式サイト

ゲームを進めていくと手に入れられる「災害マニュアル」が用意されており、ゲームの攻略に必要となるだけでなく、実際の災害時に役立つ知識が豊富に盛り込まれているとのこと。防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏が監修しており、万一地震に遭遇した場合には、PSPを持って逃げれば大丈夫!?

「デジタルゲーム学習」、4月20日発売

 シリアスゲームの基本文献として海外で広く読まれている「Digital Game-Based Learning」の翻訳書「デジタルゲーム学習-シリアスゲーム導入・実践ガイド」 (マーク・プレンスキー 著、藤本 徹 訳)は、ただいま印刷作業に入っており、書店に並ぶのは発行日の4月20日頃の予定です。アマゾン等のオンライン書店にもじきに掲載されると思います。目次情報など詳細はまた続報にてお知らせします。

「デジタルゲーム学習-シリアスゲーム導入・実践ガイド」
マーク・プレンスキー 著、藤本 徹 訳

B5変型・388頁・定価4515円(税込)
2009年4月20日発行
ISBN 978-4-501-54540-6

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テレビゲームで視力が良くなる?

ナショナルジオグラフィック公式日本語サイトによると、米ロチェスター大学のダフネ・バヴェリア氏らが行った実験において、アクションゲームで定期的に遊ぶことで目を鍛えれば、長期にわたって視力を維持することができるという結果が出たそうです。

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=9702554&expand

確かにシューティングゲームなどで動体視力は鍛えられそうに感じますが、視力も鍛えられると言われると、、、うーんどうなんでしょう。部屋を明るくして、テレビから2m離れていれば大丈夫なのかな?

また、このバヴェリア氏は、「任務を遂行できれば喜びを感じられる。そのようなほかの要素と報酬が合わされば、学習成果はさらに上がることになる」とも述べているとのことで、原文にあたってみるとシリアスゲームの学習効果に関する示唆が得られる可能性もありそうです。

福岡市がシリアスゲームを開発へ ~地元のゲーム会社や大学と連携

西日本新聞社の記事によると、福岡市が新年度に市の予算約4,000万円を投じて、環境問題などをテーマにしたシリアスゲームのタイトルを開発するそうです。

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/82462

欧米においては公共部門でのシリアスゲーム開発の事例は多いですし、日本でも特に市場が立ち上がろうとしている今のタイミングにおいては、公共部門が一定の資金を投じて孵化器の役割を果たすことは重要でしょう。

完成後はWebで公開するとのことですので、年度末くらいになるのでしょうが、さわってみるのが今から楽しみです。

#東京でもやってくれないかねぇ...

Virtual Heroesのホテル従業員トレーニングゲームとHIV予防ゲーム

米国ノースカロライナ州を拠点とするシリアスゲーム開発会社、Virtual Heroes が最近リリースした2つの新作シリアスゲームをご紹介します。

まず、以前にもご紹介したヒルトングループのホテルチェーン、Hilton Garden Innの従業員教育のためのシリアスゲーム「Ultimate Team Play for PSP」が全米の450ヶ所の同ホテルに導入され、研修の一環として利用され始めたとのことです。このゲームは、このタイプの教育用ゲームとしてはPSP用に開発された最初の製品で、Hilton Garden Innでは今年1000台のPSPを購入して各ホテルに設置して利用するそうです。

ゲームではエンジニア、ハウスキーパー、飲食部門、フロントデスクのシナリオから選んで、それぞれの業務や顧客とのコミュニケーションのスキルを学ぶ内容になっています。この取り組みは米国のホテル業界でも注目されているようで、あちこちのメディアで取り上げられています。

二つ目は、ケニアの若年層向けのエイズ予防啓発シリアスゲーム「Pamoja Mtaani」です。
このゲームは、ワーナーブラザーズがPEPFAR (President’s Emergency Plan for AIDS Relief)と共同で製作したもので、ゲームの開発をVirtual Heroesが担当しています。PC用のマルチプレイヤーゲームで、5人のキャラクターが登場するシナリオに出てくるミッションやミニゲームに取り組みながら、エイズの予防知識を学べる内容になっているとのことです。

ワーナーのプロモーションサイトで公開されているデモビデオからもわかるように、かなりヴィジュアル的にも手のかかった大掛かりなゲームとなっているようです。昨年12月にナイロビ他のケニアの都市で試験導入が開始され、6月以降他の都市へ広げていくとのことです。

なお、以前ご紹介したように、Virtual Heroesでは、コナミ、EAで活躍して同社へ移籍した佐藤隆善氏がアートディレクターとして活動しています。次はどのような作品を手がけていかれるのか楽しみなところです。

過去の関連記事:
「サイレントヒル」のTakayoshi Sato氏、シリアスゲームについて語る
GameSpotにVirtual Heroes CEO インタビュー掲載

Ultimate Team Play for PSP関連リンク:
http://seriousgamessource.net/item.php?story=17142
http://www.austin360.com/blogs/content/shared-gen/blogs/austin/digitalsavant/entries/2009/01/14/hilton_garden_i.html
http://www.bizjournals.com/austin/stories/2009/01/19/story9.html
http://www.businesswire.com/portal/site/google/?ndmViewId=news_view&newsId=20090114005426&newsLang=en
http://www.hospitalitynet.org/news/154000320/4034599.search?query=hilton+virtual+heroes+2009

“Pamoja Mtaani” 関連リンク:
http://hivfreegeneration.warnerbros.com/
http://www.voanews.com/english/2009-03-03-voa49.cfm?rss=africa

http://weblogs.variety.com/the_cut_scene/2008/12/warner-bros-lau.html
http://www.shacknews.com/onearticle.x/56237

ITmedia に代表藤本インタビュー記事掲載

 先日受けたインタビューの記事が掲載されましたのでご紹介します。

http://plusd.itmedia.co.jp/games/articles/0903/04/news095.html

via kwout

 4月から東京工芸大学で開講する「シリアスゲーム論」の話や、海外でのシリアスゲームの動向、ゲームのスキルが生活の他の場面でどう役に立つか、などの話をしています。

 なお、以前ご紹介しましたが、この連載記事の第1回でも、東京大学の馬場教授がシリアスゲームについて言及しています。

「シリアスゲームフォーラム」開催報告

 先日お知らせしました、「シリアスゲームフォーラム」を2/10に開催しました。会場は満席で、全体で20名ほどの皆さまにご参加いただきました。
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 今回は、「シリアスゲームと経営シミュレーション」をテーマに、まず前半に藤本が「シリアスゲームの視点で見る経営シミュレーション」と題して、海外での近年のシリアスゲームの動向と、そのなかでも経営シミュレーションの分野でどのような取り組みが行われているか話題を提供しました。
 後半のディスカッションでは、「経営シミュレーションの効果的な利用法とは」と題して、参加者のこれまでの学習経験を振り返って、教育の場でのシミュレーション/ゲーム教材のポジティブな面やネガティブな面をディスカッションしました。限られた時間でしたが、開発者、教育者、学習者、それぞれの視点からの多様な論点が共有されて、よい気づきの機会となったような印象でした。
 熱心に議論に参加してくださった参加者の皆さま、それから会場運営のお手間をとってくださったスリーロックのスタッフの皆さまに御礼申し上げます。
 なお、このシリアスゲームフォーラム、次回は4月22日(水)に「仮想世界における学習」をテーマとして開催する予定で企画の準備が進んでいます。詳しくは後日ご案内いたします。