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MuzzyLaneにハーバード歴史家が参加

Muzzy Lane, Harvard Historian Partner For Serious Games
歴史教育ゲームMaking Historyで有名なMuzzy Laneに、ハーバードの歴史学者Niall Fergusonがパートナーとして参加したとアナウンスがありました。
Niall Ferguson
ハーバード大学歴史研究家
2004年に、タイム誌が選ぶ世界に影響力のある100人に選ばれる。
著書に、The Price of America’s Empireなどがある。
Fergusonは、Muzzy Lane社と共同で新しいコンピューターストラテジーゲームを開発するそうです。題材に、国際テロやグローバル経済に対応しなければならない21世紀の国々を選び、プレイヤーは国を選んで参加する形をとっています。MuzzyLane社開発のSIGMAエンジンを使っており、プレイヤーやサードパーティの会社が新しいシナリオを追加することもできるようです。(MODですね。)
また、Fergusonはこうも言っています。
「ビデオゲームは文化的な現象であり、人々の考え方を変えるものである。Muzzy Lane社は、洗練されたゲームに、完全に新しいたぐいの歴史的知識を加えることができると確信している。」

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最近のシリアスゲーム海外事例2つ

 最近出てきたシリアスゲームの海外事例をいくつかまとめてご紹介します。
Planet Green Game
planetgreengame.jpgPlanet Green Game」は、スターバックスと環境保護団体のGlobal Green USAが協力して開発した環境教育ゲームです。ゲームでは、徒歩や自転車、自動車などの移動手段を選択して、マップ中を動き回って各地に設定されたミニゲームをプレイしたり、情報収集を行ったりしながら、環境保護に関する知識を学べる用にデザインされています。WaterCoolerGamesで詳しく紹介されており(英語)、「企業広告と環境教育が組み合わさったゲーム」と評されています。また、日本語でもGarbageNewsで紹介されています
Stop Disasters!
 「Stop Disasters!」は、国連国際防災戦略(UN/ISDR)が開発した、子ども向けの防災教育ゲームです。5つのシナリオで、それぞれ津波、山火事、洪水、ハリケーン、地震への災害対策を立てるミッションが与えられ、防災設備の設置や避難場所の確保などを時間内で行い、災害が起きた際にどれだけ防災の達成度向上を目指す形でゲームがデザインされています。同じく国連が開発したゲーム「Food Force」よりもゲームプレイに関わる情報量が多く、目標達成のために必要な知識が高度になっていると言えます。
stopdisasters.jpg
 ゲームはオンラインで無料でプレイできる上、学校の授業で利用するための情報リソース集も提供されています。ゲームの開発を担当したのは、英国のゲーム開発会社Playthreeで、同社はFood Forceの開発会社でもあります。同じく災害をテーマにした「Disaster watch」というゲームも開発しています。ゲームの詳細については、4Gamersの奥谷海人さんの連載コラムでも詳しく紹介されていますのであわせてご参照ください。
 ところで、奥谷さんのコラムではよくシリアスゲームが取り上げられていておすすめです。たとえば、「今、教育ゲームが面白い」では、環境保全シミュレーションゲーム「Climate Challenge」、食育教育ゲーム「Snack Dash」、アフリカの農民生活シミュレーションゲーム「3rd World Farmer」、バスケットボール選手向けのゲーム型トレーニングプログラム「Basketball IntelliGym」、国際宇宙ステーション生活体験シミュレーションゲーム「SpaceStationSim」が紹介されています。

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中学校でPSPを利用した教育−英国

 英国バーミンガムの中学校で、ソニーのプレイステーションポータブル(PSP)を教育メディアとして利用する実験が行われていると報道されています。
Pupils get lessons in PlayStation (BBC News)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/education/6505861.stm
 この中学校では、フランス語、歴史、地理の授業でPSP上で画像やビデオ、ポッドキャストなどの教材を利用する実験授業が進められており、今年度末まで続けられるそうです。生徒に配布された端末は、市販ゲームが利用できないように設定されていて、教育用のみに利用可能になっているとのことです。
 ラップトップパソコンや携帯電話端末を教育の場で生徒の個人用メディアとして利用する取り組みに加えて、この事例のようにPSP、あるいはニンテンドーDSなどの携帯ゲーム端末の利用についても教育的な関心が高まってきていることが伺えます。

絵を描くように作曲できるソフト「ハイパースコア」

五線譜がわからないと作曲ってむずかしそうですよね? 
楽譜が読めないからといって音楽が楽しめないなんてことはありません。歌を歌ったり、好きな曲を集めたり。音楽教育の外側で自分の好きな音楽の形をみつけ、大好きになってしまった人たちはたくさんいます。楽譜は読めないけど、作曲に興味があるというひとはたくさんいるのではないでしょうか。 
この記事で紹介する「ハイパースコア」は絵を描くように、自由に曲線を引くことで作曲ができるソフトです。 
HyperScore(ハイパースコア)はMITが開発した音楽作成ソフトウェアです。30~60秒までの長さの曲が作れる基本モデルが無償で公開されています。 
ハイパースコアでの作曲は、「モチーフ」と呼ばれる、メロディーやリズムからなるブロックを組み合わせることによって行われます。それぞれのモチーフに横に波打ちながら流れるように「絵の具」をのせることで画面にリズムと音階を描いていきます。モチーフを組み合わせ、ハーモニーレベルを操作すること で、作曲中に生じた耳障りな音やコード を、ソフトウェアが聞きやすいように調整してくれます。 
ハイパースコアはシリアスゲームではないのですが、よくデザインされた音楽教育ソフトであると同時に、おもちゃのようなソフトでもあります。ダウンロードして使ってみたのですが、フリーハンドで引いた線によってできたメロディーを聴いたり、自分の作ったモチーフを組み合せて色々と変化をさせるのは楽しかったです。 
基本的な仕組みを残して、「DSお料理ナビ」のようにみせ方を工夫したもの開発すれば、遊びながら学べる音楽ソフトとしてけっこういい線いくんじゃないでしょうか?
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>>>以下引用
<a href=”http://web.media.mit.edu/~toshi/ts/musictoysscore.html”>http://web.media.mit.edu/~toshi/ts/musictoysscore.htm</a> より
HyperScoreによって子供たちは直感的でダイナミックな方法で自由に作曲することを知り、感じたままにフリーハンドで「線」を描くだけで、流れのある楽曲を創作することができます。子供たちは、コード、メロディーの主題、音色や音(これらはそれぞれ色分けされています)の形で、個々の音楽の素材を創作するか、または選択して、音楽の「線」に作曲ができるのです。
結局、HyperScoreのシステムは、特定の音楽の素材を、音楽の「線」によって表される全体的な音楽形式に統合して、作曲全体を自動的に実現するのです。グラフィカルな音楽ブロック、モチーフ、そして完成した作品はプログラムの形式でオンラインで交換し合うことができ、まもなく世界中の子供たちや教育者たちがインターネットを通してダウンロードできるようになるでしょう。
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記事(hotwired)
<a href=”http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20060202201.html”>http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20060202201.html</a>
公式サイト
<a href=”http://www.hyperscore.com/”>http://www.hyperscore.com/</a>
ダウンロード
<a href=”http://www.h-lounge.com/hyperscore/download.php”>http://www.h-lounge.com/hyperscore/download.php</a>

米国の政府部門へのシリアスゲーム導入

<a href=”http://www.business-i.jp/news/world-page/news/200609180018a.nwc” target=”_blank”>http://www.business-i.jp/news/world-page/news/200609180018a.nwc</a>
米紙ワシントン・ポスト(電子版)は、災害対策の予算不足に悩む米国の自治体が、ゲームでハリケーンなどの自然災害やテロなど有事の対応を訓練することになったと報じた。
このゲームは、「インシデント・コマンダー」。自然災害の発生、テロリストによる攻撃、人質事件、有害物質の流出事故などを疑似的に体験し、政府の指針の枠内で予算を組み、住民への物資補給、通信線確保などの緊急対応のノウハウを学べる。
財政難で実際に訓練を実施する余裕がない中小の自治体向けにゲーム開発を行う。
ゲーム会社が政府機関などから要請を受けて開発するスタイルで、一括購入されるため、普通のゲームのように売れ行きに業績が左右される心配もなく、安定した収益が期待できる。ゲーム産業における新しいビジネスモデルとして期待されるとの声もある。
日本での政府系事例はまだ少ないが、政府系以外にもビジネスとして利益のでる仕組みができれば、インターネットやモバイルの普及などに合わせ、シリアスゲーム開発のニーズが増えてくると思われる。
関連サイト
アメリカのゲーム開発大手BreakAway社
<a href=”http://www.breakawayltd.com/” target=”_blank”>http://www.breakawayltd.com/</a>
3D描写によるリアルタイムガンシューティングタイプのアクションゲーム
<a href=”http://www.americasarmy.com/” target=”_blank”>http://www.americasarmy.com/</a>

空港のセキュリティ問題を題材にしたゲーム

 ロンドンで起きたテロ未遂事件以降の、空港のセキュリティ強化の問題を題材としたゲーム「エアポートセキュリティ」がリリースされました。
 このゲームは、空港のセキュリティチェックで持ち込み禁止の品物を見つけて回収する作業がゲーム化されたシンプルなアクションゲームです。ズボンやシャツを脱がせたり、禁止物がころころ変わったりするなど、セキュリティ対応の問題をパロディ的に描写しながら議論を呼ぶ形で表現されています。
 このゲームをデザインしたイアン・ボゴスト博士は、ジョージア工科大の助教授としてゲーム研究を行ないながら、自身のゲームスタジオ、Persuasive Gamesでゲームデザイナーとしても活動しており、シリアスゲームサミットのアドバイザリーボードの一員でもあります。
 こうした世の中で起きている社会問題を描写して世の中の関心を喚起しようとするゲームは、Wataercoolergamesでボゴスト博士と共に活動しているゴンザロ・フラスカ氏が「ニュースゲーム」と名づけており、このゲームもこのジャンルに位置づけられています。「ニュースゲーム」には、フラスカ氏の「September 12」や、「ジダン頭突きゲーム」、「メルギブソンの飲酒運転ゲーム」などがその例として挙げられています。
 ボゴスト博士は、このゲームの紹介記事で、ニュースゲームは、ニュースとしての速報性とゲームの作りこみにかかる時間のバランスをどう取るかが課題となると解説しています。

不動産売買のミニゲーム

 「Mansion Impossible」は、不動産売買をテーマにしたミニゲームです。
Mansion Impossible
http://www.freeworldgroup.com/games2/gameindex/mansion.htm
 ゲームはシンプルで、建てられた不動産の価格が上昇する間にクリックして購入し、下がりだす前にクリックして売却して利益をあげ、マップ内にある豪邸を購入すればゴールです。
 このゲームには複雑な学習の要素はありませんし、ここで伝えられているコンセプトが適切かどうかも議論があるところですが、コンセプトを伝えるためのミニゲームの使い方、デザインの仕方の一つの例として捉えると、参考になると思います。
 なお、このゲームはコピーされて無料オンラインゲームウェブサイトに出回っています。この手のオンラインミニゲームは、コピーできるものはどんどんコピーされて広がっていきます。このゲームと同様に、商品プロモーションなどのために企業が制作したミニゲームの類は、提供者の管理の手を離れて、ネット上で流通していきます。この点は、コンテンツの流通においてポジティブな面もあり、一考するに価する点だと言えるでしょう。

ディズニーの起業教育ゲーム

ディズニーのWebsite、ディズニーオンラインで、子ども向けの起業教育ゲームが提供されています。
ホットショットビジネス(ディズニーオンライン)
http://www.disney.go.com/hotshot/hsb.html
このゲームは、起業家精神の振興と教育を目的に活動するカウフマン財団がパートナーとなって開発されています。
コミックショップ、キャンディ屋、ペットスパなどのビジネスのうち一つを選択して開業し、資金調達の方法、販売する商品の種類や価格、広告、研究開発などの経営に関わるさまざまな意思決定を行ないながらビジネスを成長させるという内容のゲームです。場面ごとにインストラクションが入っていて、単に操作方法の説明だけでなく、判断の基準や発生イベントがビジネスに与える影響などの解説が入っており、プレイしながらビジネスの流れを体験し、学習できるようにデザインされています。
なお、ゲームは無料でプレイでき、登録等も不要です。

歴史学習のためのシミュレーションゲーム

歴史学習のためのシミュレーションゲーム「メイキング・ヒストリー」がまもなく正式リリースされます。
このゲームは、第二次大戦中のヨーロッパの政治経済状況をシミュレートして、プレイヤーは各国の宰相として意思決定を行なうというものです。学校の授業で利用しやすいように、教員ガイドが提供され、ゲームバランスの調整やルール設定などを簡単な操作で行なえるようにデザインされているのが特徴です。第二弾はアメリカ独立戦争のシナリオで、その後も他のシナリオが提供されるようです。開発ツールも同時にリリースされて、それを使って独自のシナリオ作成や細かいデータ調整もできるようです。歴史を学ぶのにシミュレーションゲームが有効だということはずっと言われてきていますが、授業で利用するにはいろいろと困難が伴うというのが課題でした。このゲームは授業での利用を前提に開発されて、そうした困難を可能な限り解消した仕様になっているようです。
市販タイトルの方では、年末発売予定の「シビライゼーション4」が開発ツールを従来からこの手のゲームで提供されていたマップエディタだけでなくて、XMLでのデータ作成と、パイソンでのスクリプト作成が可能な形で提供されるというのが話題になってます。シミュレーションゲームでMOD作成が自由にできるのはこれまでになかったのですが、UnrealやHalf-lifeでMOD作成が盛んになったような流れが今後このゲームについても起こることが期待されています。

「ハズマット:ホットゾーン」Web日本語版

カーネギーメロン大学 エンターテイメント・テクノロ ジー・センターで開発された消防士訓練シミュレーションツール「ハズマット:ホットゾーン」の日本語版Webサイトが公開されました。開発プロジェクトメンバーの伊是名さんが運営されています。ハズマットの紹介ビデオも日本語に吹き替えられています。
詳しくは同Webサイトをご参照ください。