Games for Health 2008 レポート、今回はリハビリゲームとアクセシビリティ編です。
先日ご紹介したMSNBCのニュースでも取り上げられているように、Wiiを利用したリハビリを「WiiHab」と呼んで話題にする動きが広まりつつあるようです。今回のカンファレンスでは、Red Hill Studiosとカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者たちが開発中のパーキンソン病患者のリハビリ用ツール、PDwiiについてのセッションがありました。
このプロジェクトでは、Wiiのコントローラーを入力デバイスとして利用して、パーキンソン病患者の身体機能やバランス感覚の改善のためのゲーム型リハビリプログラムを開発しています。
セッションでは、開発中に実際に患者の方々に協力してもらいながら、機能の調整や評価が行われる様子が映像で紹介されました。最も重要な課題は「安全性の確保」で、実際の患者の状況に合った形で実用レベルまで落としこんでいくために、テストツールを使って動きを定量化したデータを評価しながら繰り返しテストを行って開発を進めています。
また、リハビリと関連したところで、今回のカンファレンスでは「ゲームのアクセシビリティ」が主要テーマの一つでした。カンファレンスの前日に行われたプレカンファレンスでも、このテーマで終日ワークショップが行われ、高齢者や障がい者などの身体的なハンディキャップをもつ人々に利用可能なゲームの開発の現状や課題が議論されました。
このアクセシビリティの話題で今回最も注目を集めたのは、カンファレンス初日の冒頭で紹介された、ギターヒーローの片手用コントローラーでした。このコントローラーは、片手で操作できるようにカスタマイズされており、一方の手でピッキングする操作はフットペダルで足で操作するデザインになっています(下記写真)。ゲーム機の改造エンジニアとして知られるBen Heck氏が開発したもので、Heck氏のブログで開発過程が詳しく紹介されています。
ギターヒーロー片手用コントローラーのフットペダル
リハビリゲームは、ゲームが身体的な機能改善につながるという点において、ゲームの効能研究の一つのテーマとして捉えられます。ゲームのアクセシビリティは、ゲーム開発全般におけるテーマですが、リハビリゲームの開発には直接的にかかわってくる重要な要素であり、相互に連動しているテーマと言えます。Games for Healthの取り組みがゲームのアクセシビリティ改善の取り組みと連動し始めたことは、この分野の活動が前進していることを示していると言えるでしょう。
★残りの連載予定:
・医療教育用シミュレーション&仮想世界
・全体まとめ