シリアスゲーム関連書紹介、前回に引き続き、今回も学術系です。
この2年でゲームの教育利用に関するハンドブックが続けて3冊出版されました。今回はそれらの3冊、「Games And Simulations in Online Learning: Research And Development Frameworks」、「The Design and Use of Simulation Computer Games in Education」、「Computer Games and Team and Individual Learning、をご紹介します。
Games And Simulations in Online Learning: Research And Development Frameworks
2006年9月に発刊され、デジタルゲームの教育利用について、教育工学、インストラクショナルデザインの観点からの理論的解説、MMOの教育利用、教育用に開発されたゲーム型学習システムの事例などの論文が収録されています。
The Design and Use of Simulation Computer Games in Education
本書は2007年12月に発刊されました。前回ご紹介したデビッド・シャッファー、教育工学研究者の立場からゲームの教育利用の研究に取り組んでいるリチャード・ヴァン・エク、MMORPG「リネージュ」のプレイヤーの学習コミュニティのエスノグラフィ研究を行ったコンスタンス・スタインクーラー、シヴィライゼーションIIIを利用した教育研究を行ったカート・スクワイアなど、シリアスゲーム研究者として知られる主要な研究者たちが寄稿しています。また、科学教育のための仮想世界環境「Quest Atrantis」の論文や、インストラクショナルデザイナーとゲーム開発者が共著したシリアスゲームデザインのフレームワークを整理した論文など、全11篇の論文が収録されています。
Computer Games and Team and Individual Learning
2年ほど前から、シリアスゲームの学習効果や研究方法をめぐって「実証的アプローチ論者 V.S. 実践アプローチ論者」の間でちょっとした論争が続いているのですが、本書はシリアスゲームの研究・開発をもっと科学的、実証的なアプローチで行っていくべきとする立場の研究者が中心となって編集されています。昨今のシリアスゲームブームに対して慎重な立場をとりながら、ゲームの教育的な価値や可能性を高めていこうという本書の編者の姿勢が示されています。これまでの実証研究レビューからのゲームの教育利用研究のこれまでの成果と課題を俯瞰してフレームワークを整理し、チーム学習と個人学習それぞれ、個別事例の実証研究を数本収録しています。こちらは2007年11月に発刊されました。