最近のシリアスゲーム関連書紹介(3)

 引き続きシリアスゲーム関連書紹介、最終回の今回は、よりシリアスゲーム開発者向けの本2冊と、一番最近に出た学術書1冊をご紹介します。
 「Persuasive Games: The Expressive Power of Videogames」、「Story and Simulations for Serious Games: Tales from the Trenches」、「Serious Educational Games: From Theory to Practice」、の3冊です。


Persuasive Games: The Expressive Power of Videogames 
 この本は以前一度取り上げたことがありますがl(記事)、あらためてご紹介します。ジョージア工科大学准教授でシリアスゲーム開発会社のPersuasive Gamesでゲームデザイナーとしても活動しているイアン・ボゴスト博士の著作です。ゲームデザイナーと研究者の両方の立場の著者ならではの切り口で、政治、広告、学習分野のシリアスゲームの事例を取り上げ、それらのデザインの背景にある理論的な側面を詳しく解説しています。日本の「吉野家」ゲーム、「カレーハウスCoCo壱番屋」ゲームが事例として取り上げられていて、この類似の二つのゲームについてのシリアスゲームデザインの側面からの興味深い解説もされています。シリアスゲームデザインを学ぶための参考書として、現状では数少ないなかの重要な一冊だと言えます。
Story and Simulations for Serious Games: Tales from the Trenches
 本書は軍事系シリアスゲームデザインの解説書です。米国のシリアスゲーム分野では軍事系のシリアスゲームが主要なジャンルとなっており、軍用の語学学習シミュレーションやコミュニケーション訓練のためのシリアスゲームなど、数多くの製品が開発されています。本書ではそれらの開発の中で、学習者が夢中になって学習に取り組めるようなストーリーをいかにデザインし、学習要素と組み合わせていくかというテーマで開発者の立場から実践的な解説を行っています。
Serious Educational Games: From Theory to Practice
 本書は今年1月に発売された本で、まだ未入手のため読んでないのですが、目次を見る限りでは主に教育系分野の研究者によるシリアスゲーム、仮想世界関連の論文が寄稿されています。

 以上、今回は3回に分けて9冊のシリアスゲーム関連書をご紹介しました。耳にしているだけでも今年中に少なくともさらに2冊の出版が予定されています。シリアスゲームへの社会的な関心の高まりとともに、この分野の参考文献の集積が進んでいることが伺えます。