Games for Health(5/8-9)セッション概要

 ゲームズ・フォー・ヘルス・カンファレンスが5月8〜9日に米国メリーランド州ボルチモアのボルチモア・コンベンション・センターで開催されます。
 第4回を迎えるこの国際会議は、ヘルスケア関連のシリアスゲームの最新事例に触れ、この分野の人々とのネットワークを構築するとても良い機会です。エクサゲーミング、医療シミュレーション、健康に関する行動変容、セラピー、看護士教育、ゲーム中毒、リハビリテインメントなど、約40セッションが予定されており、ゲームを試すことのできるデモ展示も行われます。この分野の日本の事例については、シリアスゲームジャパンの藤本がミニセッションで解説してきます。
 また、今年は開催前日の5月7日に、身体障がい者向けのシリアスゲーム、ヘルスケア用途の(セカンドライフなどの)仮想世界、の2つのワークショップも開催されます(別料金)。
 二日間のカンファレンス参加費は395ドルで、7日のワークショップは別料金で99ドルから122ドルとなっています。
参加申し込みはこちら。
http://www.acteva.com/booking.cfm?bevaID=146432
以下、現在発表されているセッションをいくつか簡単にご紹介します。


・ヘルスケア関連機関にとってのゲームズ・フォー・ヘルスの可能性
米国の健康保険大手企業・機関からパネリストを招いて、ゲームの持つ可能性を議論するパネルディスカッション。
・ゲームを利用した医薬品開発
Zoran Popovic, University of Washington
生物化学をテーマとして分子構造設計を表現した3DパズルゲームFold It!は、現在の生物化学分野が直面する研究課題に触れることができるようにデザインされている。このゲームの開発の経緯や成果などを事例として紹介。
・カジュアルゲームのストレス軽減効果と気分の変化に関する実証研究
Carmen Russoniello, Eastern Carolina University
イーストカロライナ大学の心理学者が行った、PopCapが提供するBejeweled 2やBookworm Adventureなどのカジュアルゲームを用いた実証研究の成果を発表。
・エイズ予防に関する行動変容
Leslie Snyder, University of Connecticut + Speaker to be announced
コネチカット大学の研究者による、ゲームを利用したHIV/AIDS予防行動改善の研究。
・ゲーム中毒は医学的問題として正式に認められべきか?
Jack Kuo, Promises Treatment Centers
米国の医学研究において科学的に検証されているゲーム中毒の基準や対処方法の現状についての発表。
・エクサゲーミングによる健康増進
Alasdair Thin, Heriot-Watt University, Edinburgh, Scotland
体感ゲームを「エクサゲーム」として異なるタイプのフィットネスに利用した実証研究についての発表。
・ゲーム技術を利用したセラピー機器の開発
Kate Miller, Stuart Pegg Paediatric Burns Centre at the Royal Children’s Hospital, Brisbane, Australi
携帯ゲームを利用したセラピー機器Dittoの開発事例の紹介。
・ワールド・オブ・ウォークラフトで起こった疫病問題
Nina Fefferman, Tufts University
MMORPG「ワールド・オブ・ウォークラフト」のゲーム世界で2005年9月に発生した疫病(プレイヤーが死に至るウィルスの伝染)の影響についての研究。
・「エクサテインメントゾーン」の取り組み
Dr. Ernie Medina, co-founder Xrtainment Zone
昨年カリフォルニア州で開設された、エクサゲームを設置したジム「エクサテインメントゾーン」の開設にまつわる経験とこれまでの活動成果の紹介。
・フード・ディテクティブゲームの事例
子どもの食育のためのゲーム「Amazing Food Detective Game」の開発と成果の発表。
・糖尿病管理のためのゲーム
Tom Hunter, Glymetrix
大人の糖尿病患者向けの糖尿病管理のためのゲームのコンセプトやメカニズム、ゲームの特徴などを紹介。
・ゲームズ・フォー・ヘルス事例を題材としたブレーンストーミング
Dave Warhol, Realtime Associates
子どものガン教育ゲーム「Re-Mission」の開発者が開発した子ども向け交通安全教育ゲーム「Ace’s Adventure」を題材として、このゲームの改善案を議論する。
・ゲームの中の健康
Ben Sawyer, Games for Health Project
市販ゲームの中で、健康問題がどのように扱われているかを調査した結果の報告。
・PDwii: Wiiを利用したリハビリテーションの研究
Red Hill Studios
Wiiを利用してリハビリテーションプログラムを開発し、その効果に関する研究報告。
・日本のゲームズ・フォー・ヘルス
Toru Fujimoto, Serious Games Japan
日本のニンテンドーDSの健康関連ソフトや、大手企業の関連の取り組みを紹介。
・エクサゲーミングの歴史
30年近くにわたるエクサゲーミングの歴史をたどり、これまでの変遷と現状を解説し、どのような事例があるかを紹介。
・マラリア予防のためのゲーム
ウィスコンシン大学で開発された、マラリアのリスクの高い国を旅行する際の予防知識を学ぶためのゲームの紹介。
・Dancetown : 中高年ゲーマーのためのエクサゲーム
中高年の人々が身体を動かして楽しみながら、身体機能を改善するためのゲーム「DanceTown」の開発と実証結果の報告。
・K.I.C.K.の病院への導入
カーネギーメロン大学で開発された、病院の待合室でタッチスクリーン式の子ども用インタラクティブメディア K.I.C.K. (Kid’s Interactive Creation Kiosk)の開発過程と実証研究の報告。
・3DiTeams: 医療活動のチームワーク訓練
デューク大学病院とヴァーチャル・ヒーローズが開発した3Dのチームワーク訓練環境の開発と利用状況の紹介。
各セッションの詳細は下記をご参照ください(英語)。
http://www.gamesforhealth.org/archives/000218.html