ビジネスウィークのオンライン版に、マイクロソフトが自社のフライトシミュレータをもとに開発した、トレーニングシミュレーション開発プラットフォーム「Microsoft ESP」の提供を開始するという記事が掲載されました。
Microsoft’s Games Get Serious
ESP is a new software product based on the popular PC game Flight Simulator. It’s also Microsoft’s first foray into nonentertainment games
http://www.businessweek.com/innovate/content/dec2007/id20071220_808794.htm
(ESPのスクリーンショットと主な機能紹介)
http://images.businessweek.com/ss/07/12/1221_microsoft_esp/index_01.htm
この製品は、フライトシミュレータで提供されている3Dグラフィック、気候シミュレーション、マルチプレイヤー制御、リプレイ機能などの一連の開発ツールがゲームエンジンとしてパッケージ化されて、1ライセンス$799ドルで提供されます。ライセンスを利用することで、詳細な3Dグラフィックを駆使したトレーニングシミュレーションが開発でき、そのコストを大幅に削減できるというのが売りとなっています。
マイクロソフトは、これまでにも軍事用などの教育シミュレーションを開発する会社からライセンス供与をたびたび打診されていたものの、なかなか本業以外にリソースを割くゆとりがないために断っていたそうです。今回提供に踏み切った背景として、2007年現在、シリアスゲーム関連市場の規模およそ1億5000万ドル(約165億円)程度と推定(by Serious Games Initiative)され、この数字は2005年から3倍もの成長となっていること、さらに複数のアナリストの市場分析によるとシミュレーション、3Dモデリング関連市場は90億ドル(約9900億円)にのぼるということから、マイクロソフトとして市場に参入する価値を認めた、と記事で紹介されています。
マイクロソフト・フライトシミュレータは、最初のバージョンが発売されてからすでに25年にもなるそうです。これまでに開発してきた豊富なリソースをプラットフォームとして製品化することで、既存リソースの二次利用による収益化が期待できることもプラスとなっているようです。
このマイクロソフトESPの詳細は、来年2月にサンフランシスコで開催されるSerious Games Summit GDCでも紹介されるとのことです。
シリアスゲーム開発ツールとしては、Forterra SystemsのOLIVEをはじめ、新興の開発会社数社によって3Dシミュレーション開発プラットフォームが提供されていますが、今回マイクロソフトの参入によってさらにこの製品市場の動向に影響を与え、シリアスゲーム開発への関心もこれまで以上に高まることにつながると思われます。