シリアスゲームサミットGDC2005 (6)

全般的測定によるゲームの教育訓練効果と費用対効果の確保
Dr. Michael Stiso
 教育訓練へのゲーム利用において、効果測定は重要であるが、適切な形で効果測定を行なうことはとても難しい。後づけの測定ではなく、開発段階で学習目標と想定される成果を設定し、その測定方法を含めてデザインしておくことが重要である。ゲーム利用によって期待される効果は学習効果と費用対効果の向上であるが、カイシステムズ社のマイケル・スティソ博士はその測定の考え方と方法を紹介した。以下、プレゼンテーションの要旨。
キーポイント:
1. シリアスゲームの利用によって、シミュレータなどを使った大掛かりな教育訓練よりも大幅にコストを抑えることができる
2. しかし、シリアスゲーム利用によって訓練効果が高くならなければ、費用対効果が高くはなりえない
3. 訓練効果の有無とは、訓練を受ける側が必要とするものを教えているかどうかである


シリアスゲームの利用のねらい:
1. 訓練効果
– モチベーションの向上
– 学習と習得の向上
– 訓練機会の増大
2. 費用対効果
– 学習効率の改善によるコスト低減
– 低コストでの訓練機会の増大
– 訓練機会の統合
「訓練効果が高くなければ、費用対効果が高まることはありえない」
ゲームにおける効果測定の三つの役割:
– 学習者のパフォーマンスを把握する
– 学習者へ結果をフィードバックしてパフォーマンス改善を促す
– ゲームでのパフォーマンスが現実でのパフォーマンスにどう反映されているかを把握し、ゲームデザインの改善を促す
全般的測定(Pervasive assessement)
– 一回きりの測定ではなく、ゲームの開発サイクルの中で何度も行なう
– 訓練機器(シミュレータであれシリアスゲームであれ)の開発は、一度作ったら完成という性質のものではなく、継続的な改良が必要であるという前提
測定プロセス:
前工程〜開発時〜後工程の各工程
訓練領域分析〜システム開発〜訓練目標の設定
達成基準—訓練効果測定
デザイン基準—システム開発(—シナリオ・ストーリーコンテンツ、ゲーム要素)
前工程
– 方法
– 訓練内容構成する知識の収集
 - インタビュー(semi-structured)
– 認知的タスク分析
– 学習領域、業務領域分析
– 教育方法、内容の決定
訓練目標(例)
– 外敵の脅威への意識の維持
– 世論の形成が政府の意思決定に与える影響を理解する—-
指導方略:
– シナリオベース
– 個別タスクの訓練
– 一斉訓練か個別訓練か
– 指導中心か発見中心か
パフォーマンス評価項目の決定(項目例)
– 予期しない脅威への対応能力の測定
– 世論と政府と政府の意思決定の関係についての知識を測定
課題
– 専門家へのアクセス
– 時間
– 開発ペース
– 教育をいかに組み込むか
開発過程の評価
– 方法の適切さ
– 試作とテストの実施
– 目的にあっているか
– 開発計画どおり進んでいるか
– ユーザビリティ
– 前工程の検証
– 調整の実施
– 難易度
– 時間とコスト
– ソフトウェア開発の進行との連動
後工程
– 方法が機能するかをテスト
– 目的
– 訓練効果の証明
– 強みと弱みの特定
課題
– 時間、費用、学習者へのアクセスが十分でない
– 実験的な統制には限界がある(特に軍事訓練のような環境では)
– 標準的な訓練評価方法が未確立
– 測定困難なスキルへの対応(より多くの専門家の参加が必要)
– 開かれた環境VS閉じた環境(自由度の高いシナリオで特定項目を対象とした訓練評価を行なうことの有効性)
シナリオベースドトレーニング
– 訓練過程の初めから終りまで適用すること
– 特定目的のために開発されたシステムとパフォーマンス評価が必要
– ゲームを個別の訓練機会において用いる
基本的な項目
1. 学習領域分析
2. シナリオ、ソフトウェアデザイン
3. 評価とトレーニング管理
その他
– 複数メディアの組み合わせ方を研究する方が、メディアの比較よりも有意義
– ゲーム開発者と研究室の協調が重要