ベン・ソーヤーによるシリアスゲームサミット見所解説

シリアスゲームサミットGDCの開催に向けて、シリアスゲームサミットプロデューサー、ベン・ソーヤー氏がサミットの見所を解説してくれました。抄訳にしてご紹介します。


追加チュートリアル:
ノア・ファルステインとぼくで、具体的なチュートリアルワークショップへのニーズにどう応えようかという議論をした。アドバイザリーボードやこれまでの聴衆たちからも、入門者向けのセッションが必要だという意見があがった。なのでノアとぼくのコンビで、二日間のミニワークショップをやることにした。もし二日連続、朝から少し休憩を間に入れつつの各2時間のセッションになる。初日はぼくがシリアスゲームのビジネス、プロジェクト、プロダクションについて知りたい人のためにみっちり解説する。二日目は、ノアが昨年もシリアスゲームデザインのワークショップをやったけど、そのバージョンアップしたゲームデザインセッションをやってくれる。今のスキルレベルがどんなであれ、このセッションからしっかりしたシリアスゲームの基本が学べて、他のチュートリアルで学ぶためのいい基礎ができるはずだ。
アドバゲーミング:
本屋の中にあるコーヒーショップみたいに、カンファレンスの中で、史上初のアドバゲーミングとゲームによるマーケティングについての4時間カンファレンス「アドバゲーミング@SGS」を開催することにした。この二日間イベントの概要は次の通り。
Day 1:
10:15am-10:40: キム・グレッグソン: アカデミックリサーチとアドバゲーミング
研究とくに学術的な研究は広告分野において、重要な役割を持っていて、注目されてきたアドバゲーミングも研究面の取り組みが課題になる。イサカ大のキム・グレッグソンがアドバゲーミングにおける広告効果や学術研究がアドバゲーム発展のためにどのような役割を持つかについて話してくれる。
10:40am-11:05am: ジェームソン・スー: アドバゲーミングトラフィック調査から得られた知見
ジェームソン・スーは、アドバゲームのトラフィックを測定するモチボットを開発したモチメディア社のCEOで、アドバゲーミング開発のベテランでもある。このセッションで彼は収集したデータを総合して、ネット上のアドバゲーミングに絡む、多様なユーザー行動について話してくれる。
11:05am-11:15am: 休憩
11:15am-11:40am: ダン・ファーガソン: ポータルサイトとアドバゲーミングの基本
ポータルサイトは聴衆をひきつけるためのアドバゲームの設置場所として考えられている。普通のゲームで遊べるポータルにするか、企業ブランドで聴衆とコミュニケーションするためのポータルにするかはビジネス上の重要な問題だ。ブロックドット社のダン・ファーガソンにそのあたりのことを語ってもらう。
11:40am-12:00pm: エリック・シュワルツェル: 消費財マーケティングにおける総合的マーケティングキャンペーンとゲームの統合
市販ゲームは消費財マーケティングキャンペーンに使えるか?エリック・シュワルツェルがカジュアルゲームをマーケティングキャンペーンに利用した事例とキャンペーンの成果を紹介してくれる。
12:00pm-12:15pm: ジェラルド・ラフォンド:アンチアドバゲーム−アドバゲーミングへの社会的批判?
全てのアドバゲームがブランド構築のために作られているのではなく、ブランドを壊すためのゲームもある。パースウェーシブゲーム社のジェラルド・ラフォンドが、同社の開発したフェデックス・キンコーズのオペレーションをパロディ化したアンチアドバゲーム「Disaffected!」が呼んだ反響と、開発を通して得た知見を披露してくれる。
Day 2:
10:15am-11:00am : アドバゲーミングアイデア連射パネル
パネリスト: ケニー・ローゼンブラット、デーブ・マッデン、ジェラルド・ラフォンド、キム・グレッグソン
1時間足らずでどれくらいのアドバゲーミングアイデアをカバーできるか?このパネルでは、パネリスト達が限られた持ち時間で速射砲のようにアドバゲーミングのアイデアを次から次へと出しまくる。このセッション自体がアドバゲーミングそのものであって、アドバゲーミングをアドバゲーミングする楽しいセッションだ。
11:00-11:15am 休憩
11:15am-11:40am : マイク・バーンズ: アドバゲーム初採用の際に知っておくべきこと、期待できること
アドバゲーミングを採用したクライアントになる際に、何を知っておくべきなのか?このセッションは、初めてクライアントになる人たちのための入門セッションだ。
11:40am-12:05pm: クリス・チェンバース: アメリカズ・アーミー
アメリカズ・アーミーは、アドバゲームとして最大の成功事例だ。クリス・チェンバースがその成功に至るまでのプロジェクトの取り組みと、アドバゲーミングの観点から、アメリカズ・アーミー開発を通して得た知見についてを語ってくれる。
12:05pm-12:30pm: デーブ・マッデン: アドバゲーミングの現状と今後の展望
ワイルドタンジェント社のデーブ・マッデンが、アドバゲーミングセッションの最後に、アドバゲーミングの現状と今後についての重要な点を取り上げて語ってくれる。アドバゲーミングの予算、ゲーム内広告を設置する場所、広告やマーケティング担当者がどういうところに注目しているのかといった点についてをまとめてくれる。
まだまだ盛りだくさんのセッションラインナップ:
今回は、4会場でセッションが同時開催されていて、チュートリアルとアドバゲーミングと同じ時間帯にも山ほどいいセッションがある。その一例を紹介しよう。
・シリアスゲームにおける一般オーディエンスアプローチ
従来の若い男性をターゲットにするだけではなく、シリアスゲームを他のユーザー層に広める上で重要な課題についてを解説する
・ヒューマンからバーチャルヒューマンへ
このセッションでは、人間関係をゲームの中で構築するための技術を紹介し、シリアスゲームでどうその技術が活きていくかを解説する。
・最も重要なスキル
カーネギーメロン大のジェシー・シェルがこれまでのシリアスゲーム開発の経験から、シリアスゲーム開発を成功させるために必要なスキルについてを語ってくれる
・シリアスゲームの問題点
シリアスゲームグループの中心メンバーたちが、シリアスゲームについての自己批判を繰り広げるパネル
・テーマ別ディスカッション
特定のテーマに関心のある人同士で交流ができるように、朝食と昼食時に小さなミーティングルームを用意した。テーマは次の通り。
 ・企業トレーニング
 ・防衛と安全保障
 ・学校教育
 ・アドバゲーミングとゲームによるメッセージ伝達
 ・ゲームズ・フォー・チェンジ
 ・ゲームズ・フォー・ヘルス
 ・ゲームズ・フォーサイエンス
 ・IGDAシリアスゲームSIG
特にIGDAシリアスゲームSIGでは、これからIGDAでシリアスゲームに関心のあるグループのこれからの取り組みについてを議論する。各セッションでは、ホストがファシリテーしながら議論を進める。興味あるテーマのセッションにぜひ参加してほしい。
シリアスゲームブラスト:
いくつかの時間枠を小さく分けて、ブラスト(爆風)セッションを作った。各20分ほどで6つほどのシリアスゲームプロジェクトが次々登場して、短い時間でブラストのような衝撃あるプロジェクトの概要を披露してくれる。今どんなシリアスゲームプロジェクトが走っているかをざっと理解するにはもってこいのセッションだ。
「教育学ブラスト」では、6人ほどの研究者がそれぞれのシリアスゲーム研究を紹介してくれる。
「シリアスゲームのニューインターフェース」では、コンピュータ−ヒューマンインタラクション(CHI)の研究とシリアスゲームの接点を議論する。今までに見たことのないアイデア満載だ。
「ビジネスモデルブラスト」では、シリアスゲームカンパニーのCEOたちが、シリアスゲームをビジネスとして成功させるためのビジネスモデルをどう構築するかについてのアイデアを紹介し、議論する。
その他のセッション:
おっと待った!まだあるよ。45分枠のセッションでカバーされるトピックは次のとおり。
・ゲームアクションの測定方法とゲームコミュニケーション
・ゲームと外国語教育
・ファースト・パーソン・シューティングゲームで算数教育
・プラスティシティ−都市計画ゲーム
・職場でのゲーム
・バーチャル世界の教育
・政治、宗教、イデオロギー:ゲームによるアプローチ
・シリアスプレイ:エデュケーショナルゲーム最前線
・デジタルゲームプレイと認知訓練の最新事情
・トラウマストレス障害治療のためのゲーム環境
・青少年教育へのゲーム開発教育の活用
・45分間授業で使えるシリアスゲーム:学校の授業でどう使っていくか
おわりに:
学校での市販ゲーム利用事例、課外活動でのゲーム利用についてのセッションも準備しているところだ。月曜にはレセプションが開かれるし、GDCの一般セッションでもシリアスゲームのセッションもあるよ。今回もGDCの参加者全体に向けて、シリアスゲームのメッセージを伝えていこうと思ってる。
セッションの構成については、近いテーマのセッションをまとめて聴けるようにスケジューリングしている。初日には企業向けのシリアスゲームのセッションの時間帯を設定したし、二日目にはゲームズ・フォー・ヘルスのセッション二つとミーティングを企画したよ。聴きたいセッションが同じ時間に重ならないように相当に苦労してセッションを割り振っておいたからね。