デジタルネイティブについてよく知るための1冊

 NHKスペシャルで「デジタルネイティブ」の特集が放送されたのをきっかけに、ネット上でもデジタルネイティブが話題にのぼっている様子が目立つようになりました。
 デジタルネイティブについて日本語で解説した本はそれほど出ていないようなので、やや手前味噌で恐縮ですが、拙訳の「テレビゲーム教育論―ママ!ジャマしないでよ勉強してるんだから」では、デジタルネイティブについて丁寧に解説してますので、あらためてご紹介します。
 本書では、デジタルネイティブの子どもたちの生態、考え方、その能力を伸ばすための付き合い方などを詳しく解説しています。
(「テレビゲーム教育論」目次より)
第2部 「デジタルネイティブ」の出現
 第4章 子どもたちは私たちとは違う―彼らはネイティブで私たちは移民だ
 第5章 ほんとに子どもたちの思考の仕方は違うのか?
 第6章 オンライン世界で生活するデジタルネイティブたち
 下記のような楽しいエピソードも豊富に紹介しながら、学術的な知見や教育におけるデジタルゲームの活かし方、付き合い方を論じています。



(「テレビゲーム教育論」第2章より)
 「・・・すべてのゲームプレイヤーがそうだというわけではないが、思考スキル、協調スキルやその他のスキルについて、彼らがとても早い時期から学び始めているのは確かだ。カナダのバンクーバーで幼稚園教師をしているレオナ・ヒギンズは、次のように語った。「息子のショーンが五歳の時、「ザ・シムズ」を一緒にプレイし始めました。まだ学校に入る前です。ある日、二人で散歩の途中に学校の遊び場の前を通りかかった時、ショーンが突然「ママ、この遊び場はすごく高いよ」と言いました。「どうして?」と聞くと、「シムズでぼくがおうちに遊び場を作ったら、すごく小さいやつで一二五〇ドルもかかったんだよ。だからこの遊び場は二万ドルくらいすると思うんだ。たくさんの人が何日もかけて働いて作ったんだと思うよ」と答えたんです(就学前の幼児が建設コストについて語っている!)。・・・(中略)・・・
 そして私が一番気に入っている話は、これだ。先ほどのレオナの息子のショーンが幼稚園にあがって、ある日、売り出し中の家の前を通った時、彼はその家の前にある不動産屋の案内を手にして、その家の売値を見ていた。そして母親の方を振り返って聞いた「ママ、うちの総資産はいくら?」(お宅の坊やはそんなこと知ってますか?)。
 子どもたちはずいぶん早くから、このような複雑な概念をゲームから学んでいる。そしてこの後また詳しく述べるが、子どもたちは他者と効果的に協調する方法もゲームから学んでいる。多くの大人たちは、コンピュータネットワークのない頃に作られたシングルプレイヤーゲームの世界しか知らないので、まるで想像できないかもしれないが、急速にゲームは世界規模の社会的メディアとなっているのだ。・・・」

 なお、最近アマゾンでなか見検索対応になったので、そちらでも目次等をご参照いただけるようになってます。