MMO研究関連書

 Massive Multiplayer Online Game (MMOG・大規模多人数参加型オンラインゲーム) は、シリアスゲーム分野でも関心の高いテーマの一つです。MMO世界の社会性や文化の形成過程には、教育などのエンターテインメント以外の分野への応用の可能性も高く、各分野で研究が進められています。その中から、最近書籍としてリリースされたものをいくつかご紹介します。
Play Between Worlds: Exploring Online Game Culture
T. L. Taylor 著
コペンハーゲン工科大学の准教授である著者が、MMO初期の大ヒット作「エバークエスト」世界をエスノグラフィの手法で研究し、プレイヤーたちの活動や、形成される文化を詳細に記述しています。
Synthetic Worlds: The Business And Culture Of Online Games
Edward Castronova 著
インディアナ大学准教授で、MMO世界経済研究の第一人者である著者による、これまでのMMO世界の経済学的研究の知見をまとめた研究書。巨額の開発費が投じられ、何百万ものプレイヤーが参加するMMO世界で形成される文化や、一つのゲームだけで、リアル世界の一つの国の経済活動を超える規模の経済活動が行なわれている状況の背景や活動のメカニズムを分析的に論じています。
Massively Multiplayer Online Role-Playing Games: The People, the Addiction and the Playing Experience
Richard V. Kelly 著
DEC社でバーチャル世界のシステム開発に取り組んできた著者が、3年間で100人以上のプレイヤーへのインタビューをもとに、人々がそれらのゲームに魅了され、ハマっていく要素を探っています。エバークエストでの研究成果をメインに、数ある主なMMOタイトルについても特徴や概要について言及しています。
韓国のオンラインゲームビジネス研究―無限の可能性を持つサイバービジネス成功の条件
魏 晶玄 著
現時点では、日本語では上記のようなアプローチで書かれた研究書はまだ出ていませんが、関連書としては、韓国のオンラインゲーム研究の第一人者、魏晶玄氏による、オンラインゲームの産業分析を行なった研究書がリリースされています。欧米とは異なる文脈で発達しているアジアのオンラインゲームコミュニティについて、その特性や国ごとのユーザーの違いなどについて触れられています。
(参考) このトピックの関連論文:
藤本徹 (2005). 多人数参加型オンラインゲームの教育利用に向けた研究の方向性.
http://anotherway.jp/seriousgamesjapan/archives/files/MMOGResearchFrameworks-Fujimoto.pdf