シリアスゲームへの理解を深める上で読んでおきたい基礎文献をご紹介します。このリストはちょっとずつアップデートしていきます。
今のところほとんど英語で恐縮です。これから翻訳化も含め、少しずつ日本語文献を増やしていければよいなと思ってます。
1. 書籍
“Digital Game-Based Learning” by Marc Prensky
ゲームを通した学習の必要性、原理、実践方法などについて網羅的にまとめられている。学習ツールとしてのゲームを開発、活用していく上でまず考慮に入れるべき点をおさらいできる。シリアスゲーム関連の論文ではまず引用される。
“What Video Games Have to Teach Us Aobut Learning and Literacy” by James Paul Gee
ビデオゲームを通した学習の原理を認知科学的視点から論じている。意味論の言及などややわかりにくいが、どんな学習が起こるのかがしっかり整理されている。
“Simulations and the Future of Learning” by Clark Aldrich
リーダーシップスキル養成シミュレーション「バーチャル・リーダー」開発のプロセスと、シミュレーションのロジック構築の過程がわかりやすく記されている。筆者による次作「Learning By Doing」も必読書。
ポケットの中の野生―ポケモンと子ども、新潮文庫、中沢 新一著
日本を代表する思想家、中沢新一によるポケモンゲーム論。現代の子どもの遊びの中で失われたものをポケモンゲームが補完しているということを論じている。思想家特有のわかりにくさがあるが、文化や生活の文脈の中でゲームがどう機能しているかを考える上でとてもよい文献。
2. 論文
Serious Games: Improving Public Policy through Game-Based Learning and Simulation
シリアスゲームイニシアティブが出した初期の論文。シリアスゲームの基本概念や開発プロジェクトで考慮すべき点などがまとめられている。大学経営シミュレーションVirtual Uの事例も紹介されている。
Kurt Squire (2004) Replaying History: Learning World History through playing Civilization III, Doctoral Dissertation
シリアスゲーム研究者Kurt SquireがシビライゼーションIIIで歴史教育を行なった研究をまとめた博士論文。市販ゲームを利用した教育研究としては代表的な論文。
3. Website
Serious Games Initiative
本家シリアスゲームイニシアティブのウェブサイト。リンクをたどっていけばシリアスゲーム関連の情報が豊富に収集できる。
Social Impact Games
Marc Prensky氏による、シリアスゲームの事例が集積されたウェブサイト。
Education Arcade
MITとウィスコンシン大の教育用ゲーム研究プロジェクト。マイクロソフトやリープフロッグなどがスポンサーとして研究費を出資。ゲームのショーケースや論文を豊富に掲載。
Room130
ウィスコンシン大学のデジタルゲーム研究コンソーシアム。シリアスゲーム関連の論文を掲載。
Socialstudygames.com
ニュージーランド在住の研究者Lisa Galarneau氏によるゲーム研究ウェブサイト。シリアスゲーム関連の論文が豊富。
Wired News: Game World
Wired Newsの日本語サイト。米軍の開発するゲームや、アメリカのゲーム文化に関するニュースで日本語化されたものとしてはここが一番早い。