先日からGames for Health Conference 2008のレポートをお届けしていますが、今回はゲームをエクササイズに利用するエクサゲーミングに関連の情報をまとめてお送りします。
エクサゲーミングに関連するセッションは10セッションほどあり、自分で出ていないセッションも多くて全部をカバーすることはできないので、ここではざっと概要をご紹介します。自分で出ていない分のセッションの内容はSerious Games Source等の関連記事を参考にしています。
この分野で注目される動きの一つは、エクサゲーム機器を用いた家族向けフィットネスセンターの
「XRtainment Zone」の動向ですが、前回までにもこのカンファレンスでその取り組みが紹介されてきました。今回もこのXRtainment ZoneのCEO、Dr. Ernie Medinaが現在の活動状況を報告しました。同施設は、DDRやEyeToyを始めとする各種エクサゲームを利用していますが、「子ども向け肥満解消ジム」ではなく、「エンターテインメントの要素を高めた家族向けフィットネスコミュニティセンター」的なコンセプトで活動しており、フィットネスプログラムの全体の中でエクサゲームの利用が活かされるところで利用しているそうです。たとえば、通常のフィットネスジムのプログラムは運動嫌いの子どもたちには敷居が高いですが、そのような子どもたちのために、エクサゲームを導入プログラム的な位置づけで利用していて、ゲームで運動を楽しめるようになった子どもたちがさらに運動を続けるために、水泳やダンスなどの従来のフィットネスプログラムも提供されているとのことです。この施設の成功の要因には、単に物珍しさでゲームを利用するのではなく、ヘルスケア分野の専門家によるプログラム開発とコミュニティ形成の努力が背景にあるようです。
ゲームデザイナーのNoah Falstein 氏のセッションでは、「エクサゲーミングの歴史」と題した発表を行い、過去のエクサゲーミングの歴史をたどりながら解説しました。初代ファミコンの当時に発売されたバンダイの「ファミリートレーナー(Power Pad)」や、ナムコの「プロップサイクル」などのアーケードゲームなどのエクサゲームの先祖から、コナミの「DDR」やPS2のEyeToyのエクサゲーム、最近の日本のDS市場で提供されているヨガ等のフィットネス系タイトルも紹介されました。Falstein氏は「このマーケットにはユニークなゲームプレイを求めるゲーマー層と、ユニークなフィットネスツールを求めるユーザー層の二つの主なユーザー層がいて、どちらもまだ開拓する余地がある」という見方を示しました。
また、「エクサゲーミング研究パネルディスカッション」のセッションでは、この分野の研究者3名がそれぞれの研究プロジェクトの事例を紹介しました。ニューヨーク州立大学のDr. Stephan Yangは、DDRとEyeToyのそれぞれでエクササイズした子どもたちの運動データを分析し、米国保健福祉省が奨励する基準の適度な運動を十分な時間行わせるためのツールとして、これらのゲームがそれぞれに有効であることを示しました。
このほか、会場のデモブースでは、エクサゲーミングのコミュニティを支援するウェブサイトが、日本版のWii Fit の試遊機を提供していたり、ゲーム機と連動したエクササイズバイクなどのフィットネス機器の展示なども行われていました。また、北米では発売間近のWii Fitへの期待も高く、つい先日にはEAがWiiのバランスボードを使ったフィットネスゲームを開発することがアナウンスされました。これらの関連タイトルのリリースとともに、この分野の盛り上がりはしばらく続きそうです。
参考記事:
GFH: XRtainment’s Medina Says Gaming Gyms Can’t Be Glorified Arcades
http://www.seriousgamessource.com/item.php?story=18568
Games For Health: Noah Falstein On Exergaming History (Gamasutra)
http://www.gamasutra.com/php-bin/news_index.php?story=18561
次回以降の連載予定(順不同):
・脳トレ、ゲームの効能研究
・ゲーム依存症研究
・リハビリゲーム研究
・医療教育用シミュレーション&仮想世界