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★シリアスゲーム解説書「シリアスゲーム−教育・社会に役立つデジタルゲーム」発刊のお知らせ★
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(2007年2月6日)
このたび、シリアスゲーム解説書「シリアスゲーム−教育・社会に役立つデジタルゲーム」(藤本徹 著、東京電機大学出版局、価格1995円)が2月20日に発刊されます。本書は、シリアスゲームの概念、国内外の事例、開発と導入の考え方などについて網羅的に日本語で書かれた、最初のシリアスゲーム解説書です。
シリアスゲームとは、「教育をはじめとする社会の諸問題解決のためのデジタルゲーム開発・利用」を総称する概念であり、2000年代前半から欧米で普及し始め、今日では一つのゲーム分野、研究領域を形成するほどの広がりを見せています。
本書は、そのシリアスゲームムーブメントの初期から欧米のシリアスゲームコミュニティの中で研究を続けてきた著者が、教育工学者の立場からこれまでのシリアスゲームの取り組みの動向、日本のゲーム産業やゲーム文化の事情を考察し、日本におけるシリアスゲームのあり方を示す内容となっています。
本書の概要、本書に関するお問合せ先は下記をご参照ください。
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書名 :シリアスゲーム − 教育・社会に役立つデジタルゲーム
著者名 :藤本 徹
出版元 :東京電機大学出版局
定価 :本体1900円+税
ISBN :978-4-501-54270-2
発行日 :2007年2月20日
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★本書目次
第1章 ゲームと教育・学習
1.「ゲーム」の概念
2.「ゲーム」と「シミュレーション」
3.ゲームを教育に利用するメリット
4.ゲームと学習の関係を阻害する3つの誤解
5.ゲームが教育の場で受けない10の理由
第2章 シリアスゲームとは
1.シリアスゲームコミュニティの形成
2.シリアスゲームの定義と範囲
広義のシリアスゲーム
狭義のシリアスゲーム
シリアスゲームの問題の捉え方
3.シリアスゲームの新しさ
諸領域横断的なコミュニティ形成
教育以外の用途への着目
エンターテインメントゲームの利用用途開発への着目
「ゲーム世代」の成長
デジタルゲーム技術の発達・成熟
エンターテインメントゲーム市場の飽和
4.「エデュテインメント」との違い
対象とする分野の広がり
土台とする技術の違い
エデュテインメントという言葉の陳腐化
第3章 シリアスゲームの事例研究
1.シリアスゲームの分類
2.シリアスゲームの事例
バーチャルU:大学経営人材養成のためのシリアスゲーム
アメリカズ・アーミー:リクルーティング活動のシリアスゲーム
フードフォース:国連機関が開発した広報シリアスゲーム
ハズマット: ホットゾーン:消防士訓練のシリアスゲーム
ビルディング・ホーム・オブ・アワ・オウン:住宅業界の広報シリアスゲーム
イングリッシュ・タクシー:英語学習と英国文化理解のシリアスゲーム
ハワード・ディーン・フォー・アイオワ・ゲーム:選挙プロモーションのシリアスゲーム
セプテンバー・トゥエルブス・ア・トイ・ワールド:政治的メッセージ伝達のシリアスゲーム
ダルフール・イズ・ダイイング:社会変革のシリアスゲーム
メイキング・ヒストリー:歴史教育のシリアスゲーム
ホットショットビジネス:子どもの起業意識を高めるシリアスゲーム
ア・フォース・モア・パワフル:非暴力的政治運動のシリアスゲーム
ベンズ・ゲーム:病気と闘う子どもたちのためのシリアスゲーム
バーチャル・リーダー:リーダーシップスキル養成シリアスゲーム
3.学校教育での市販ゲーム利用
ゲームメーカーが主導するゲームの教育利用研究
学校体育へのエクサゲーム導入
4.日本におけるシリアスゲームの展開
日本の大手ゲーム会社各社の取り組み
第4章 ゲームの効能と学習効果研究
1.アクションゲームで外科手術の技術を向上
2.アクションゲームで視覚能力を向上
3.がん患者の教育と支援
4.ゲームで恐怖症治療
5.高齢者のリハビリ効果
6.「ゲームの処方箋」研究
7.ゲームの効果の測定と評価の考え方
8.ゲームの効果測定・評価研究の難しさ
第5章 オンラインゲーム世界への展開
1.MMO 研究の動向
MMO プレイヤーの研究
MMO におけるプレイヤーの学習研究
MMO を教育目的で利用した研究
2.社会生活シミュレーションMMO「セカンドライフ」の可能性
3.教育・訓練用途のMMO 開発
第6章 シリアスゲーム開発と導入の考え方
1.シリアスゲームと従来のゲームの違い
2.シリアスゲームデザインのヒント
できの悪いゲームの特徴
「優れたゲーム」から学ぶ必要性
「ライズ・オブ・ネイション」にみる,学習を促すゲームデザイン要素
チュートリアル
プレイ中のパフォーマンスサポート
スキルテストとプレイ記録
日本のトイレに学ぶシリアスゲームデザイン
3.過去のプロジェクトからの教訓
バーチャルU 開発プロジェクト
リミッション開発プロジェクト
アドバゲームプロジェクト
4.インストラクショナルデザイナーの存在
5.プロジェクト形成とビジネスモデル
コンテンツホルダーとゲーム開発会社が共同して,スポンサーを確保する
起業家が資金調達して,新たにベンチャービジネスとして展開する
6.シリアスゲームの導入
利用しやすいシリアスゲームに必要なこと
ズー・タイクーン2の指導ガイド
Firaxis Games のサイト
7.親と教師のためのゲームガイド
第7章 シリアスゲームの将来像
1.シリアスゲームを軸とした産学官連携型人材育成支援
プロジェクト教育主導型人材育成
コンテスト主導型人材育成
シリアスゲームがゲームとほかの領域をつなぐ
2.ゲーム業界におけるシリアスゲームの可能性
3.ゲームに対する社会的な見方が変わる
4.シリアスと言わずともゲームはシリアスに
5.「ゲームのちから」を信じる人々
★著者プロフィール
藤本徹(ふじもと とおる)
1973年生まれ。大分県出身。慶應義塾大学環境情報学部卒。教育関連企業などでの勤務を経て,2002年よりペンシルバニア州立大学大学院の教授システム学(インストラクショナル・システムズ)プログラム博士課程に在籍。教授システム学の観点から,デジタルゲームを利用した教育方法・学習環境のデザインや,オンラインゲーム世界の学習コミュニティの研究に取り組んでいる。2004年よりシリアスゲームジャパンのコーディネーターとして,日本にシリアスゲームを紹介し,日本における普及活動を推進している。
★お問い合わせ
本書に関するお問い合わせは、シリアスゲームジャパン事務局宛(seriousgamesinfo [atmark] anotherway [dot] jp )にお願いいたします。シリアスゲームジャパンは、米国シリアスゲームイニシアチブの支援を受け、日本でのシリアスゲーム普及を推進する任意団体です。
なお、プレス関係者で書評の執筆・掲載をご検討いただける方は、本書見本を謹呈させていただきますのでご連絡ください。
以上