The Free Culture Game: クリエイティブ・コモンズの精神をプレイするゲーム

 ローレンス・レッシグ教授の提唱するクリエイティブ・コモンズの概念をもとにデザインされたゲーム「The Free Culture Game」が最近公開されて話題になっているようです(ソース: WaterCoolerGames)。
The Free Culture Game
http://www.molleindustria.org/freeculturegame-eng
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 このゲームはシンプルなウェブゲームで、知識を自由に共有する「コモン」とその周辺で知識を消費する「マーケット」の関係が描かれています。
 コモンにいる人々が知識を出し合って共有しているところを、周辺で活動して知識の権利を囲い込んでマーケットを支配しようとするVectorialistがコモンに集まった知識を吸い取り、商品としてマーケットにいる消費者に提供しようとします。コモンにある知識が吸い取られて乏しくなると、人々は消費者化してマーケットに移ってしまい、知識を創造しなくなります。
 みんながコモンで知識を創造しながら共有できるようにVectorialistから知識を守ることがこのゲームのミッションです。プレイしながら、フリーカルチャーの考え方に触れられるようなデザインとなっています。ゲームのほどよい難しさがフリーカルチャーの実現の難しさとかみ合っていて、クリアするまで少しプレイを続けていくと、いろいろと気づかされるところがあります。
 このゲームは、イタリアのゲーム開発会社、Molleindustriaによるもので、同社は社会的なメッセージを持つミニゲームやアドバゲームの開発を中心に事業を行っています。
 Ian Bogost氏は、著書「Persuasive Games: The Expressive Power of Videogames」で、このような社会的、教育的なメッセージを取り込んだゲームを「パースウェイシブ・ゲーム(Persuasive Game)」とよび、そこで用いられているゲームデザイン上の表現手法を「プロシージャル・レトリック(Procedural Rethoric)」という概念で整理しています。同書では、このようなシンプルかつパワフルなメッセージ性の高いゲームのデザインについて詳しく解説しています。このFree Culture Gameの面白さをもう少し掘り下げてみたい方への良い解説書です。